先日テレビで、規格外で廃棄しなければならない野菜を使って、自家製堆肥を作っている農家さんが紹介されていました。
その堆肥で野菜を作ると、翌年の野菜の出来が良くなるということでした。
我が家も、毎年廃棄しなければいけない野菜がたくさん出ます。
主ににんじんや大根などの根菜類で、はたから見るともったいないと思われるほど大きな残渣の山になっています。
これまでは、そのまま枯らして耕運機で畑に戻していました。
ただ、少し手間をかけてでも堆肥化することで良い効果が出るのであれば、自家製の堆肥作りをしてみたいです。
野菜の品質が向上し、翌年の収益につながるのではないかという期待もあります。ぜひ、詳しい作り方を教えてほしいです。
(北海道・三井隆/仮名・30代)
イチロウのゼロイチ農業(旧さいこうやさい)
堆肥と肥料を掛け合わせた土壌作りがおすすめです
まず、堆肥を入れることで地力が高まり、増収するのは本当です。
テレビや雑誌など各所で言われている通り、効果はあります。堆肥を入れることで土壌に微生物が増え、収穫が安定するためです。
実際に我が家でも堆肥を行い、今では肥料を使わなくても収穫できる良土になりました。
基本的には、収穫後にお礼肥えと言って土に微生物の餌となる堆肥を散布しているだけです。
しかし、肥料を使った方が野菜のサイズが安定するので、肥料ゼロより堆肥と肥料を組み合わせた栽培がおすすめです。
堆肥を入れる頻度について、必ず毎年行う必要はありませんが、毎年入れるのと1年おきに入れるのとでは、もちろん毎年入れた方が土壌は早く変わります。
あとは、これを地道に続けていくこと。堆肥にすることで一手間作業が増えるわけですから、面積が大きければ大きいほど大変になります。
そこでご紹介したいのが、土の表層で乳酸発酵させて堆肥化させる方法です。
実際に私も行っていて、低コストでいい土を作ることができるので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
方法は、畑で野菜を枯らして、その上に堆肥をまくだけです(おすすめは乳酸菌ができるだけ含まれている堆肥、なければあとで添加するのも可)。
ポイントはすき込むときに、微生物が増えやすいように堆肥を表面に散布してから表層10センチ程度まで浅くすき込むこと。
この工程だけで、十分な堆肥の効果を出すことができます。なお、残渣を残さないよう次の作付けまで期間を5カ月以上空けるようにしてください。
土作りは長く続けることが大事です。成功をお祈りしています。
吉田俊道
農業法人(株)菌ちゃんふぁーむ 代表取締役
残渣を漬け物にしてから土壌に戻すことで、有用菌いっぱいの土に変身します
うちでは、残渣から堆肥を作っていません。その代わり、廃棄する収穫残渣を漬け物(乳酸発酵)にしてから土に戻しています。
その方が、堆肥にして入れるよりもはるかに多くの有用菌を土壌中に増やすことができるからです。うちのやり方をご紹介します。
用意するのは、25~100リットル程度の密封できるタンク(ヤフオク等で貯水タンクと検索すると、輸入食品の輸送に1回使ったものなどが安く売られています)。
それと、塩と米ぬかボカシ(米ぬかボカシの作り方は、EM菌を使ったり自然から増殖する方法がネットに載っていますので調べてみてください)。
まずは、日々の野菜残渣とボカシ、塩をタンクに入れていきます。特に混ぜたりする必要はありません。量の目安は塩は総重量の2~3%、ボカシは5~10%です。
塩を使うのでハウス栽培には不向きですが、露地栽培は毎年の雨で塩類集積の心配はありません。最初は夏以外の季節から始めた方が無難でしょう。
冬場で1カ月以上、夏場で2週間程度で香りの良い漬け物ができるので、それを畑に10キロ/㎡程度まいて耕うんし、黒マルチをかけ、端に土をかけてしっかり覆ってしまいます。
すると、土の中で有用菌が爆発的に増えていきます。その時に出る二酸化炭素で、パンがふくらむように土がフカフカになります。そのまま1カ月程寝かせたら、野菜の植え付けができるようになります。
この方法だと肥料は不要になるし、なにより土の中が有用菌で満たされるので、土壌病原菌の抑制にもつながります。
畑の大きさ分のタンクが必要なことと、割と重労働になることが懸念点ですが、土が元気になってくれるので続けられています。ぜひやってみてください。