ワイヤー製のケージに鶏を1羽ずつ収容するタイプの飼育方法(バタリーケージ)で、採卵の養鶏場を営んでいます。
家族経営ですが、規模拡大に力を入れており、2万羽まで増やすことができました。
最近の悩みは、このところの大豆・穀物相場の急騰によって飼料メーカーから購入している配合飼料の価格が上がってしまい、飼料代のコスト増が続いていることです。
しかし契約上、2年間は生産コストを販売価格に上乗せすることができないため、どうしたらコストを減らせるものか…。
しかしどう考えても、経営状況を改善するためには飼料にかかるコストを落とすしかなさそうです。
成長期には鶏の体に影響を与えてしまうと思うので、このまま栄養重視の飼料を使い、成鶏向けの飼料だけでもなんとか低コストな自家配合に切り替えたいのですが、原材料や成分の配合比などは、どんなことに気を付ければいいでしょうか。
卵の味が落ちたり、コストが高くなったりしては意味がないので、その点を考慮したアドバイスがほしいです。
(千葉県・筒井さん/仮名・40代)
高木伸一
たまご博物館 館長
輸入トウモロコシを国産の飼料用米で代替するとコスト減に。独自の美味しさの探求も目指して
大規模ではない養鶏場で使用されている「自家配合飼料」の主な成分(原材料)には、次のような例があります。
・黄色トウモロコシ
・魚粉、かつおぶし、米ぬか
・海藻
・牡蠣がら(卵殻のためのカルシウム)
・パプリカ、アルファルファ、唐辛子(卵黄色に影響)
・発酵飼料(おからなどを利用)
・大豆など
上記のうち配合飼料中の約50%を占める、鶏の主食とも言える原料が「トウモロコシ」で、粉砕したものなどが使われます。
トウモロコシの主要産地はアメリカやアルゼンチンですが、相談者のおっしゃるように近年、価格が高騰しています。
そこで、輸入トウモロコシの過半量を国産の「飼料用米」に代替(例:65%以上)することにより、コスト削減が可能となります。
飼料用米はトウモロコシと同等の栄養成分がありますが、トウモロコシよりも卵黄色が白っぽくなりますのでその対応は必要です。トウモロコシを増やせば黄色っぽくなります。
配合飼料への飼料用米の利用については、近年、農水省なども力を入れておりますので、情報収集や検討をお勧めします。
また自家配合飼料を作るには、それなりの労力がかかります。原材料を混ぜ合わせるための攪拌機(混合機)などの設備もそろえなければなりませんので、イニシャルコストとランニングコストの十分な検討も必要と考えます。
各県にある「畜産研究所」(農水省の管轄)などでも相談に乗ってくれると思いますので、一度連絡してみてください。
いずれにしても、「コスト削減」とともに他の養鶏場に負けない品質(美味しさ)も目指して、独自の飼料の原材料、割合、栄養成分などを探求されることを期待しています。
最後に、どのような契約で販売先に出されているのか分かりませんが「自家配合飼料」とすることで、他の養鶏場とは違う特長を模索し、「ブランド化」することも考えられたらいいのではないでしょうか。