稲作を30年ほどやっていますが、定期的に台風の被害に遭っています。
自然災害は仕方のないことですが、被害に合う頻度も高まり、ダメージも大きくなってきています。
風が吹き抜ける位置に田んぼがあるので、どうしても被害が出やすいのですが、地形を変えることはできません。
なんとか被害を減らそうと、防風ネットを設置したり、稲穂や茎の損傷を防ぐために深水にしたり、フェーン現象で脱水症状にならないようにして、気をつけています。
登熟期(穂が栄養を溜め込む時期)が異なる品種を組み合わせて、リスク分散もしています。
しかし、収穫が近づいてきた時期の台風は不安でしかありません。天気予報を見て台風の進路や規模を確認したり、早めに稲刈りしようかと悩むのをできるだけ減らしたいです。
「台風に強い稲」みたいな品種はないものでしょうか?
(滋賀県・辻さん/仮名・50代)
有限会社 牧田稲研究所
耐倒伏性を持つ新品種を開発しました
残念ながらどのような耐倒伏性品種でも稲の茎の強度が低下したり、土の支持力が衰えてしまうと倒伏は起こります。
ですので、しっかりした栽培方法を施すことが基本となります。
茎の強度を高めるには、主茎の幼穂長が15ミリに達してから、葉色を見て穂肥の施肥を行うことが重要です。
また、土の支持力は土を固めることで解決することができます。
しかし、ご相談者さまもさまざまな対策をされているようですが、残念ながら最近のような暴風を伴う強い勢力の台風などには太刀打ちできないのが現状です。
そこで弊社では自然災害に強い「短くて太い稲」の品種を3種類開発しました。それぞれの特徴を紹介します。
「マキタ短茎コシヒカリ」は、コシヒカリ系統保存栽培の中から変異株を発見し、分譲用に育成したものです。
稈長(かんちょう/茎の長さ)は79cmと短く、稈の太さもコシヒカリより太いのが特徴です。DNA鑑定では、コシヒカリと判定されており、品質も食味も申し分ありません。
耐倒伏性の強さはもちろん、イモチ病にも強い特性を持っています。
さらに「マキタ超コシヒカリ」という稈長75センチメートルで、特に美味しい系統で短い茎の変異株を選抜育成したものもあります。
「マキタ超コシヒカリ」の兄弟品種で、稈長70センチメートルのウルトラ級の耐倒伏性を持つ「マキタ女王」というのもあります。
いずれの品種もDNA鑑定で米はコシヒカリと判定されており、品質も食味も申し分ありません。
異常気象が続く昨今、気象災害に強い品種選びから見直すことが重要な時代になってきていることを実感しています。