農家にとって、栄養豊富な土壌は財産です。
私は新規就農して3年目になりますが、いわゆる「栄養豊富でフカフカな土」を目指して、トラクターだけでなく手作業でも耕してきました。
しかし、土が柔らかくなりすぎたのか、圃場のところどころで農機器が車重に耐え切れず走れなくなってしまうように…。
私が手作業で土を耕すのには、理由があります。
農作業を研修させてもらっていた農家では、農機器だけで長年耕してきたために作土が圧縮され、下に「耕盤」と呼ばれる硬い層ができていたのです。
そのため水も空気も通りにくく、排水性が低下し、根張りも悪くなったと聞き「自分の畑はそうならないようにしよう」と心掛けた結果が現状だと思っています。
近くの畑の人に聞いたところ、特にそうしたことはないようなので、適度に土を固くしたほうがいいのでしょうか。
でも、今からどうすれば固くできるのかがわかりません…。
(群馬県・川田さん/仮名・40代)
家庭de菜園 うぇぶたねやさん
家庭de菜園 うぇぶたねやさん
「耕盤」があり地下水がたまっているかも。破砕するか、暗渠の施工をおすすめします
植物の根の成長にとって理想的な土の硬さは、フカフカすぎず硬すぎず、「畝立てした後にその上を歩いても足が沈まない程度」が良いと思われます。
土壌の質によっても異なりますが、フカフカした状態とはつまり、隙間がたくさんあるということになります。
良い土の状態を「団粒構造」と言いますが、これは土壌を構成するだんご状の土の塊がバランスよく混ざり合っていて、通気性や排水性に優れ、有益な微生物が繁殖している状態を指します。
反対に、粘土質や砂土質のように、隙間が均一な「単粒構造」をした土壌の場合は、雨が降るとドロドロになったり、干上がるとカチカチに固まったりして、植物の成長に悪影響を及ぼします。
一方、土壌改良材であるピートモスやバーミキュライトが豊富な堆積土壌の場合も、フカフカを通り越して、ボワンボワンして足元が沈み込むことがあります。
このような場合は、土を踏み固めて鎮圧しようとしてもなかなか締まらないのです。
日本の畑の場合、荷重の重いトラクターでも土が乾いた状態で走れなくなるような例はあまり聞いたことがありません。
ですから相談者のケースで考えられるのは、かつて水田だった農地を畑に転用しているか、やはり相談者が心配しているように「耕盤」が存在していたりする可能性が高いでしょう。
耕盤があると地下に水が浸透しにくくなるため、雨水が地中に溜まってしまい、水の上に土を置いたような状態になってしまいます。
耕盤があるかどうかは、スコップで50〜60センチほど穴を掘れば確認することができますので、存在していた場合はトラクターの後部にサブソイラー(心土破砕機)を取り付けて硬い土の層を砕き、水はけをよくする必要があります。
何らかの理由で耕盤を破砕できないなら、耕盤の上に溜まっている地下水を排水する「暗渠」を作る方法もあります。
暗渠排水を施工することで、雨が降った後の圃場の耐力がアップし、農機作業が可能になるはずです。
地下水が減ると土壌の通気性が良くなって、土壌中の微生物が活性化し、作物の根っこが深く伸びていけるようになります。