山梨県の山間部で、トマト、キャベツ、スイートコーン、きゅうりなどの野菜を中心に栽培しています。
還暦を過ぎて疲れやすくなってきましたので、大型の農作業機械を購入して生産効率を高めたいと考えています。
しかし、農道が経年劣化のために、舗装にくぼみや亀裂ができています。さらに、道幅も狭く、素人目にも大型トラクターを走らせるには不安があります。
すれ違いをするだけでも大変そうで、トラクターの転倒事故などもたまに聞くので、行政に道の整備の相談しに行きましたが、すぐに対応してもらえなさそうな雰囲気です。
事故が起きてしまってからでは遅いので、同じ農道を利用する仲間がお金を出し合って整備することも考えましたが、費用が高額のため諦めました。
このままですと、大型農作業機械を導入できないまま時間が経っていくばかりになりそうです。
うまく行政を動かす方法はありませんか?
(山梨県・内藤慎二さん/仮名・60代)
田中克樹
農と風土の学び舎
農道整備には地方自治体の支援や、農水省の交付金を活用する方法もあります
農作業中の死亡事故で多いのは、乗用型トラクターによるものが一番多く、全体の約3割になります<2019(令和元年)度>。
相談者様が心配されているように、道路の窪みや狭い道路での路肩の崩落などがトラクターの転倒要因になります。できるだけ早めに危険道路の補修を行い、そのうえで大型トラクターなどを購入してください。
まずは一般的に農道と呼ばれる道路とは、「土地改良法」に基づいて造成された農業用道路のことで、農林水産省の管轄となります。市町村や都道府県によって整備され、完成後に市町村道として認定された道路は、農道の区分に入りません。
今回の相談者様のケースは、厳格な意味での農道ではなく、「市町村道」であると思われます。「市町村道」の場合、修繕や管理の義務は市町村にあります。
とはいえ、地方財政が切迫している現在においては、優先順位が住民が通勤や買い物など日常的に使う「生活道路」に比べ、後回しになるのは致し方のないことと思われます。
山梨県の北杜(ほくと)市ではこういった農道整備の要望が多く、何年も待つことが少なくありません。そこで、補修内容が窪みに砂利を敷くなどといった軽微な場合は、住民に施工してもらって原材料(工賃などは対象外)を支給したりするなどの形で支援する制度を自治体が設けています。
他の自治体でも同様の制度があるかもしれません。そういった制度があるかどうかを自治体の道路担当部署に問い合わせてみてください。市町村合併で広域な地域でしたら、本所だけではなく支所(旧町村単位)の地域振興課が別途に要望を受け付けている場合もあります。
地元の自治体への相談とは別に、農林水産省管轄の交付金を活用する方法もあります。これは農道の補修・整備などを活動組織や集落組織などの単位で取り組む場合に支払われるものです。
「多面的機能支払交付金」や「中山間地域等直接支払交付金」などがあり、農道への砂利の敷設からコンクリート・アスファルトへの舗装化などといったの大規模な補修まで可能です。