うちは15年ほど前に脱サラした父が地元で就農して以来、家族でずっと野菜農家をしてきました。
しかし先月、世帯主だった父が出先で事故により亡くなってしまったのです。
そのため、これまでは父が中心となって営農していましたが、私が後を継ぐことになりました。
遺産整理をしていると、2年前に父が奮発して買ったトラクターのローンがまだ3年くらい残っていることが判明しました。
今後は私が使うことになるのですが、私が所有者になっても確定申告で減価償却として計上することができますか?
(群馬県・妹尾さん/仮名・40代)
田中耕一
田中耕一税理士・中小企業診断士事務所
相続や贈与で取得した減価償却資産は、ローンの有無を問わず減価償却費を計上できます
所得税法では「相続や贈与で取得した減価償却資産の取得価格は、それを取得した者が引き続き所有していたものとみなす」と規定されていますので、相談者様は、ローンの有無に関わりなく、減価償却費を計上することができます(所得税法施行令第126条第2項)。
相談者様のお父さんが亡くなられた年の減価償却費は、亡くなられた年の1月から亡くなられた月までと、その翌月からその年の12月までで按分(基準となる数量をもとに比率を算出し、それに応じて割り振ること)をして計上します。
例えば5月に亡くなられた場合はお父さんが12分の5、相談者が12分の7として計上します。
なお、トラクターの法定償却方法は通常「定額法」となります。定額法は文字通り、毎年定額の金額を減価償却処理する方法で、「取得原価×定額法の償却率」の計算式によって金額を求めることができます。
ただし、償却方法は自動的には引き継がれませんので、もしお父さんが生前に減価償却方法の届出書により「定率法」を選択されていた場合、相談者が確定申告期限までに「定率法」の届出をされない限り、自動的に「定額法」が適用されます。