愛媛県で、いちご農家を営んでいる30代男性です。農園の広さは30アール程度で、年間の売上は1500万円ほど。
作業は年老いた両親と妻の4人でまわしてきました。
しかし、妻が妊娠し、今後はパートさんを雇うことになりそうです。
いままでは、ひとりで確定申告(白色申告)をやっていましたが、申告時期が迫ってから慌てて準備していたので、2月はいつもバタバタ。何度かやれば慣れると思っていましたが、年に一回の作業なので、毎年忘れてしまいます。
今後、パートさんを雇うことになると、経理作業も増えますし、自分一人で確定申告をやりきれるのか不安です。
そこで税理士さんに頼もうと考えています。
どうせ頼むなら、青色申告にして必要な仕分けや記帳も依頼したいのですが、手数料や選び方など、基本的なことを知りたいです。
(愛媛県・斉藤さん/仮名・30代)
木下 徹
農業経営支援研究所
できる限り経理事務などを自分でやってみる事をおすすめします
税理士の手数料(税理士費用)はさまざまです。税理士によって、また作業してもらう内容によって変わりますので一概には言えません。
その前提の上で、あえてお答えすると、仕訳処理込みで決算や所得税と消費税の申告まで含めた作業だと、どんなに安くても年間20万円はするでしょうし、もしかしたら50万円以上かかるかもしれません。
依頼する時期は早い方がいいので、個人でやられている農家さんの場合、4月~6月ぐらいと考えておきましょう。
青色申告と白色申告とのメリットについてですが、白色申告でのメリットは皆無と言っていいので、青色申告を選ぶ以外の選択はないと思った方がいいです。
青色申告のメリットは、
①10万円~65万円の特別控除がある
②専従者給与という家族への給与(費用)が認められる
③3年間の赤字の繰り越し等が可能であることです。
また青色申告であっても必ずしも複式記帳をする必要はないので、特別控除が10万円になってしまいますが、白色申告と手間はほとんど変わりません。
税理士選びの判断については、料金に気を取られやすいと思いますが、やはり経営のパートナーになる人ですから、人柄が自分と合うかどうか、相談など気軽にできそうな人かなどが重要です。
また農業分野は特殊な経理処理があるので、農業の申告に詳しい方がいれば、そういう方にお願いするのが良いでしょう。
税理士は税務署単位にある地域の税理士会に相談すれば、紹介してくれると思いますし、JAの青色申告会などに相談してみるのも良いでしょう。
JAによっては農家の会計記帳を代行してくれ、申告のお手伝いもしてくれることもあります。併せて確認してみてください。
また、今後パートさんを雇うという事ですが、給料計算や源泉徴収事務などを行う必要があることも忘れないでください。
この事務処理を税理士や社労士に外注することもできますが、その分費用が発生するのは言うまでもありません。