今年農業へ転職したばかりの新米農家です。
県の補助を受けて家と農具を借り、周囲の方に指導いただきながら、野菜作りを学んでいます。
自営業を行うこと自体が初めてなので、野菜作りと並行して必要な帳簿などの勉強も始めました。
今年は自営初年度で収入もほとんどないため、税務作業、確定申告を自分でできればと思っています。
軽く調べてみたところ、農業は一般的な処理よりも複雑なようで、ひとりで解決できるか早速不安になってしまいました。
その中で農業簿記というものがあることを知りました。
この資格を取得すれば、個人で確定申告できるようになるでしょうか?
また、確定申告以外にも普段から役に立つ知識は得られるでしょうか?
他にも受験しておくメリットがあれば教えて欲しいです。
(岐阜県 ・山野隆さん/仮名・20代)
A.B.先生
農業経済学が専門の大学の名誉教授
確定申告に資格は不要ですが、まずは白色申告から自分でやってみましょう
確定申告には資格は必要ありません。ですが、自分でやってみることは勉強になるので、ぜひご自身で確定申告に挑戦してみてください。
初めの頃はそれほど収入も高くないと思いますので、高いお金を払って税理士を雇う必要もありません。
税理士に頼むと便利は便利ですが、収支に無関心になってしまいがちです。規模が大きくなった際に検討するくらいで十分です。まずはご自身で数字と向き合ってみてください。
まず、確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。白色は損益の提示のみで申告は非常に簡単です。一方、青色は提出書類が複雑になる分、控除額が大きくなるというメリットがあります。
まず2022年3月15日締め切りの確定申告は白色にして、次の年に青色にするのがいいかもしれません。
帳簿の基本は、毎日の収入や支出をノートに細かくつけ、領収書と一緒に保存します。
確定申告の際に提出する必要はありませんが、税務署に呼び出されたら、それを根拠として提示する必要があります。
機械や施設は購入時の価格を資産台帳に書き入れ資産として計上し、自動車や自宅は、「家事按分」と言って農業に使った分(割合)を計上することができます。
農業に必要な組織への会費や交際費、必要な雑誌、新聞等、すべてコストとなります。家計全体を把握することで、どの作物は儲からないのか、次はどの作物を増やすべきか、などが分かる様になると思います。
確定申告の提出物については国税庁のWebサイトで分かりますが、農協の勉強会や税務署に聞きに行くと良いですよ。「初めてです」と伝えるとイチから指導してくれるでしょう。