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果樹農家の経営を引き継ぎました。従業員やパートさんの賃金や昇給はどのような基準で決めるべき?

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果樹農家の経営を引き継ぎました。従業員やパートさんの賃金や昇給はどのような基準で決めるべき?

最近、高齢になった父親が体調を崩したため、サラリーマンを辞めて、実家の農業法人の経営を引き継ぐことになりました。

法人では露地でブドウとモモを栽培。新品種も積極的に導入し、早生種から晩生種まで栽培する品種も多く、直売や通販で固定客も少なからず付いています。

今後、できれば若い人を雇用し、集落内に増えてきた耕作放棄地も取得して規模を拡大していきたいと思っています。

これまでは従業員2人と、収穫などの繁忙期に3人ほどパートを雇ってやってきましたが、その従業員やパートさんも高齢化し、そろそろ引退したいと言ってます。

これまでは正直なところ、親父のどんぶり勘定で賃金を決めてきていて、毎年の昇給などもあったりなかったりしたようです。

最近は地方の中小企業では従業員やパートさんも集まりづらいと聞くので、今後は賃金をはじめ、労働条件なども農業法人らしい姿に整えたいと思っています。

従業員やパートさんの賃金や昇給はどのような基準で決めたら良いのでしょうか。
(岡山県・三宅進さん/仮名・40代)

山下弘幸

株式会社農テラス代表取締役、農業経営戦略家

賞与や手当で給与を上げるとともに、労務費のバランスから損益分岐売上を知りましょう

従業員やパートさんの賃金や昇給を、どのような基準で決めたら良いかというご相談ですが、この問題は、農業だけでなく他の業種の経営者も同じように頭を悩ませています。

賃金の値上げのやり方には大きく分けて次の3つが挙げられます。

1、「年数(キャリア)」で上げる
2、「技能(スキル)」で上げる
3、「役職」で上げる

それぞれのデメリットから申し上げます。

1の年数で昇給すると、無能な人でも長年勤めているだけで値上げしなければなりません。

2の技能の場合、従業員が持っている技能を評価するところが難しくなります。

したがって、3の役職に準じた昇給が望ましいのですが、現実問題として農業にはそれほど役職はありません。

結論としては、基礎給与を上げるのではなく、「賞与(ボーナス)」や「手当」で従業員の給与上昇を行うのがベターです。

ただ、この状態をずーっと続けるのはよくありません。そこで次の3つへの取り組みをオススメします。

A、自社売上と労務費のバランス
B、雇用者の生活を安定させる損益分岐売上を知る
C、社員、スタッフと共有する


A〜Cについてこれから詳しく説明します。

A、自社売上と労務費のバランス
まず、自社売上の中で労務管理費(人件費)はどれくらい(何%)出せるのか?この基準を明確に決める必要があります。

B、次に損益分岐売上を明確にします。
栽培品目がブドウとモモの露地栽培ということですので、人件費にかかるのは、おそらく売上の35%~40%程度だと推察します。

仮に売上が3,000万円の場合、人件費35%ならば、労務費は1,050万になります。

従業員2人に350万ずつ払い、繁忙期のパートさん4人に90万円ずつ払うとすると、年間雇用費が1,050万円(1,060万)です。

そこでもし、従業員の方が年間350万円の給料で生計が成り立つのであれば、売上3,000万が損益分岐点になります。

ここで注意しなければならないのは、C、経営者の取り分が少なければ意味がないということ。
役員報酬もしっかり15%(450万円)は確保できていることが前提です。

以上のことを踏まえて、売上に対する労務費の割合いに沿って新規採用を決定したり、給料を上げたりすると覚えておいてください。

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