東京西部の自然豊かなエリアで年間30品目の野菜、栗や柿などの果樹を作り続けてきました。
農地は60aほどで広いわけではありません。
この度、息子が後を継いでくれることとなったのですが、いままでやってきた農作物をそのまま作り続けたくないと言っています。
息子はブルーベリー狩りをメインにし、ほかには珍しい野菜や加工品(ジャム)の販売をやっていきたいという希望を持っています。
しかし、東京はブルーベリー農園が多いので、うまくいくのか心配です。私が元気なうち(あと10年くらい)に息子をサポートして、なんとか軌道に乗せてやりたいと考えています。
一気にすべての農地をブルーベリー農園にするのではなく、野菜作りと並行させながら徐々にブルーベリーを拡大していくつもりです。
そこで、ブルーベリーの観光農園をオープンする際、まずはどの程度の規模からはじめると良いのかアドバイスをいただけないでしょうか?
(東京都・川井さん/仮名・60代)
八木拓美
ローズベリーファーム
ブルーベリーの果樹園は時間がかかるので、その間に集客やマーケティング、ロス分の活用などを考えましょう
まずとりあえずの経営面積ですが、一反(1000平米=10a)程度はあった方がいいように思います。あくまで最低限とお考え下さい。
状況によってはもっと広い面積が必要になってくるかもしれないので、後々広げることもできるような環境の畑であった方がいいと思います。
ブルーベリーの株間についてもできるだけ広い方が作業性も良いですし、来園されたお客さんは気持ちがいいかと思われます(一般的にブルーベリーの株数は200株程度~)。
そして、本当に観光農園をやろうと思うのであれば、とりあえず木を植えて下さい。品種などの選定もあるかと思いますが、ポピュラーなモノを3種ほど、収穫期間を長くしたい、と考えるならラビット系とハイブッシュ系を混ぜてもいいと思います。
ただ、いたずらに長くすると、時間ばかり取られてしまうので、自分は短期集中の方がいいかと思います。
ブルーベリーですが、野菜でノウハウをお持ちだと思うので、栽培については割愛しますが、他の果樹に比べて簡単です。
ただその分、栽培の技術ではない部分で多くの努力が必要になってくると思われます。例えば集客とかマーケティングとか…。
正直言えば、ここが半分以上を占めます。ここの部分ができないと、おそらく他の農園と差別化できずに思ったような結果は得られないと思います。
それともう一点。果実のロスは3割〜5割は想定しておいた方がいいかもしれません。
というのは、観光農園の形態自体が待ち仕事なので、土日に雨が降ったら来園者の多くがキャンセルになりますし、近年の猛暑続きや炎天下が原因で、客足が伸びないなどの要因も考えられます。
この間に熟した果実はドンドン落下していきます。収穫適期を逃せば商品価値が無くなることになります。
前段階が少し長くなりましたが、植え付けを行って株が完全に安定するまでに5年程かかると思います。
果実自体は2、3年で収穫できるようになるかもしれませんが、栽培から収穫まで短期間の野菜と比べて、果樹園の成園化にはその程度の時間がかかることをご理解ください。
この期間にきちんと自分の方向性を見極め、他の農園にない“売り”を創ることをおすすめします。
例えば、ロス分を落下させずに自分たちで収穫しておいて、冷凍果実を運用する方法など、いろいろ考えられると思われますが、他の誰もが想像しない6次産業化と、観光農園のハイブリットを目指す形を検討するのも良いのではないでしょうか?
ちなみに僕は、神奈川県相模原市で「ローズベリーファーム」を運営しておりますが、当初は観光農園を目指していました。
しかし、畑の立地環境など諸々の条件を鑑みて、栽培農園にした結果、すべての収穫量の1割〜2割程度を生の果実として販売し、残りの果実は冷凍保存して、ジャムやスムージーなどといった加工品の原料として使っています。
原料の一部は外部に販売しております。
補足ですが、初めの資本投下はできる限り小さくした方がいいと思います。
事業を始めるときには、箱モノを建てたり、使うかわからない機材を導入したりなど、初期投資の費用はいくらでもかけられますが、必ずしも想定通りに利益が回収できるとは言えない業界です。
まずは小資本から事業の骨格を作り、そこへ肉付けしていく方法がいいと思います。
蓮太郎
ベジガーデン蓮田
初期投資が大変です。3年目ぐらいから沢山収穫できるようになりますが鳥害にやられて、ネットが必要になります10aで150万ぐらいかかります!入園料を取らないと投資金が回収できません。