九州で、漁業を営む50代の漁師です。自分のところもそうですが、漁師はみな後継者不足に悩んでいます。
お客さんの魚離れもあり、買い取り価格も安いので、家計は苦しく、地域にも活気がありません。
ですが、うちの漁場は豊かで、形も味もよい魚が獲れます。何とか、自分たちで地域の漁業を盛り上げていきたいと、仲間と話しているのですが…。
調べたところ、一般の釣り人向けに観光釣り船で人気になっている地域もあるようです。
そこで、遊漁船を始めてみて、うまくいけばそちらを本業にしようかとも考えています。
年齢を考えれば、漁師よりも肉体的な負担は少なく、長く続けられるのではないでしょうか。海釣りのファンを増やすことができれば、漁業に関心を持つ人も増えるのではないかと期待もしています。
漁師仲間や漁協とはうまくやっていくつもりですが、漁業と遊漁船を兼業してもよいのでしょうか?
また、何か特別な免許が必要なのでしょうか?
(長崎県・福田さん/仮名・55歳)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
開業するための登録が必要です!各都道府県に申請しましょう
観光釣り船とは、遊漁船業のことを指していると思います。遊漁船業については「遊漁船業の適正化に関する法律」という法律があります。
それによると「遊漁船業とは、船舶により乗客を漁場に案内し、釣りその他の農林水産省令で定める方法により魚類その他の水産動植物を採捕させる事業をいう」と決められています。
遊漁船業には、船釣りだけでなく釣り人を磯などに乗せる乗合船である「磯渡し」や「瀬渡し」なども含まれます。
法律により「遊漁船業を営もうとする者は、その営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない」とされています。そのため、観光釣り船をはじめるには、まず開業のためには都道府県に登録を申請しましょう。
この登録は、5年ごとに更新を受ける必要があるので、こういったことにも注意してください。
開業するまでの手続きについては、各県の公式ホームページに記載されていることが多いようです。ご自分の都道府県のサイトを見ながら、開業登録を進めてみてください。