お茶畑をしている農家です。
規模は2ヘクタールで、品種は玉露、露地の普通栽培で行っています。
お茶は連作しているのですが、既に7年ほど連作しており、普及所から一度土壌の検査をするようにすすめられました。
すると、土壌の有機体窒素と交換性カリウムが過剰であるとの結果が出ました。
有機体窒素は100mg/100g、交換性カリウムは60mg/100gほどの値です。
これらの養分を減らさなければならない一方で、お茶にはしっかりと肥料を与えなければなりません。
うまく減肥する方法はないでしょうか?
(京都府・塩部さん/仮名・40代)
京都府農林水産技術センター 農林センター 茶業研究所
京都府農林水産技術センター 農林センター 茶業研究所
個別の養分を単独で減らすのは難しいので、減肥に取り組みましょう
まず、地元の農業改良普及センターからのアドバイスをお求めいただけたらと思います。
その上で、以下のポイントを参考にしてください。
農林水産省が2009(平成21)年5月に発表した「茶生産における施肥の現状と課題」によると、お茶は、お米や他の畑作と比べても経営に占める肥料の割合が高く、その背景には、茶摘みや整枝によって大量の窒素が奪われるので、窒素肥料をたくさん補給する必要があるのです。
市場での高級茶嗜好も手伝って、旨味成分のもとであるテアニンを豊富に含んだ茶葉を生産するためにも窒素が多く必要とされてきました。
産地によって施肥量にはバラツキがありますが、全国300カ所以上で土壌環境を調査した結果、ほとんどの農地で施肥量を減らしているにもかかわらず、土壌に含まれるリン酸や交換性カリは蓄積傾向にあって、一部ではリン酸過剰が原因の生育障害が起きているところもありますし、カリは適正域(30mg/100g)の上限を超える水準にあります。
ここでいう「有機態窒素」は、主に油かすなどの有機質肥料や堆肥由来、交換性カリウムは、硫酸カリウム(硫加)などの肥料や高度化成、草木灰などに由来したものですが、これらを単独で減らすことは困難で、どうしても肥料全体を減量させるしかありません。
【有機態窒素について】
窒素(N)は、土壌の中では、前述の有機態と、作物にすぐに吸収される無機態があります。
有機態が土の微生物によって分解(無機化)されることで、無機態窒素になりますから、無機態窒素が過剰でなければ、有機態窒素の過剰障害は現れにくいということになります。
ご相談者さんの場合、有機態窒素の無機化により、アンモニア態・硝酸態窒素が過剰となるおそれがあるため、減肥が必要と判断されていると考えられますが、急激な減肥は、収量や品質への悪影響が懸念されるため、年間施肥量の2~3割を減らし、現行の7~8割程度の施肥量で数年続けるのがおすすめです。
【カリウムについて】
単肥のカリ(硫加)は施用しないでください。単肥は施用しておらず、高度化成を使っている場合は、やはり現行の7~8割程度の施肥量で減肥をするというのが当面の対策です
その後は、定期的に土壌診断を受け、収量や品質も含め経過を見てください。