鹿児島でサツマイモの栽培を行っています。
他の農家に比べて規模は小さいのですが、60アールほどで栽培を行っており、ほぼすべてを地域のJAに卸しています。
サツマイモの栽培では、必ず収穫残渣が出ますが、葉物などの軟弱野菜や稲と比べて、非常に厄介な存在です。
蔓(つる)や茎は燃やすか、土壌にすき込めば土に還ってくれますが、規格外で出荷できないような曲がりくねったイモは燃えにくいですし、すき込んでもなかなか土に還ってくれません。
圃場に放っておいたら、病気や獣害に合う可能性が高くなるので、毎年処分に困っています。
サツマイモの収穫残渣をうまく処理する方法を教えてください。
(鹿児島県・内田さん/仮名・60代)
吉田俊道
農業法人(株)菌ちゃんふぁーむ 代表取締役
菌を用いて乳酸発酵させてから土に戻しましょう
私たち菌ちゃんふぁーむでは、土の中の微生物が作り出す活性化物質を活かすことで、野菜を作っています。
人間の腸内環境(フローラ)と同じで、善玉菌と微量なミネラルを増やすことで、畑の地力が改善されるからです。
そこで私たちは、廃棄する収穫残渣を乳酸発酵(漬け物)させてから、土に戻すようにしております。
そのほうが、堆肥にするよりも、はるかに多くの有用菌を土壌中に増やすことができるからです。
25~100リットル程度の密封できるタンクを複数用意し、そこに塩と米ぬかボカシと一緒に野菜残差を入れて作ります。
米ぬかボカシの作り方は、EM菌を使ったり、自然から増殖する方法がネットに載っているので調べてみてください。
塩は2~3%、ボカシは5~10%が目安です。
塩を使うので、ハウス栽培には不向きですが、露地栽培なら雨が降るので塩類が集積するおそれはありません。
それを畑に10キロ/㎡程度置いて耕運したうえ、黒マルチをかけて、端には土をかけてしっかり覆ってしまいます。
野菜の漬け物はすでに嫌気発酵してますから、腐敗する可能性がほとんどありません。
土の中には有用菌が増えてると同時に、二酸化炭素で団粒性が良くなり、フカフカな土になります。1カ月寝かせたら、野菜の植え付けができます。
肥料は不要になるし、なにより土の中が有用菌で満タン状態になるので、土壌病原菌の発生を押さえてくれます。
土壌環境をこのような状態にすることで、有用菌が収穫残渣をスムーズに分解してくれるようになります。ご相談者さまの畑でも、サツマイモをハンマーナイフモアでバラバラにした後、トラクターで浅く耕運してください。