サツマイモ栽培で発生する雑草について知りたい

YUIME Japan編集部 / 2023.06.02

分析・管理

#サツマイモ #野菜作 #根菜類

文字サイズ

拡大標準

近くにできた道の駅でサツマイモが売れていると聞いたので、うちでも栽培してみようかと考えています。

ちょうど休ませていた畑があるので、そこで栽培をはじめようかと思うのですが、いまは雑草が生い茂っている状態です。

そもそもこの畑は雑草が生えやすくて、手入れが大変なので休ませていました。

きっとサツマイモを栽培しても雑草が生えてくると思いますが、作物の成長にも影響するので、注意すべき雑草について知りたいです。

また、雑草の特徴や駆除のタイミング、注意点などについて教えてください。

山川理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

フォローする

サツマイモ栽培で発生する雑草は、早期発見・駆除で対策する

サツマイモ栽培で注意したい雑草とは

サツマイモを栽培するうえで注意したい代表的な雑草は、以下の通りです。

サツマイモのツルが畝間を覆うまでの間は注意しましょう。

雑草の種類	発生時期	特徴
スギナ	春	・地下茎を伸ばしながら増殖する・栄養茎は、高さ30～60cmまで大きくなり、景観が破壊される
チガヤ	春〜夏	・地下茎を地中に伸ばして、広範囲に繁殖する・冬の間に葉が枯れても、地下茎は枯れずに生き残っている・地下茎からは、他の植物を生えにくくする化学物質が出ている
ギシギシ	春〜秋	・地下茎を伸ばしながら増殖する・栄養茎は、高さ100cmまで大きくなり、景観が破壊される・冬の間に葉が枯れても、地下茎は枯れずに生き残っている
オヒシバ	夏〜秋	・繁殖力が非常に高く、一個体で数千個の種子をつくって拡散する・多少の傷害ではへこたれない耐久性をもつ・高さ60cmまで大きくなり、景観が破壊される
メヒシバ	夏〜秋	・繁殖力が非常に高く、一個体で数千個の種子をつくって拡散する・オヒシバよりも乾燥に強く、耐久性がある・高さ60cmまで大きくなり、景観が破壊される
ヤエムグラ	春〜秋	・作物にからみつきながら成長し、倒伏や収穫作業に支障をきたす
スベリヒユ	春〜夏	・高さ30cmまで大きくなり、景観が破壊される・乾燥に強く、耐久性がある
カヤツリグサ	秋	・大きく育つほど根が強く深く張る・表面を刈っただけでは防除しきれない
カラスノエンドウ	秋	・種子を広範囲に飛ばしながら増殖する

中でも、スギナやギシギシは地中深くに根を張り、1度繁殖してしまうと何度も再生してくる雑草です。根絶が困難になる前に、早急な発見と対策が必要になります。

サツマイモ栽培で雑草が与える影響

雑草が生い茂った畑では、サツマイモの葉が雑草に覆われてしまうため、光合成ができなくなってしまいます。

ツルが十分に成長できないことから、いも数が減ったり、いもの大きさが小さくなったりしてしまいます。

サツマイモの雑草を除草するタイミング

マルチ栽培では畝間に雑草が生えるので、除草剤散布は植え付けから直ぐに行いましょう。

1ヶ月以上経過すると、サツマイモが雑草に覆われるので、また雑草が生えてきたら再度薬剤を散布します。

無マルチ栽培では土寄せ作業などと同時に行うことで、手間をかけずに除草作業を実施できます。

雑草ともども畝を削って、土をまた畝に戻します。

土が乾いている青天のときが効果的です。

梅雨前に1回、梅雨の合間に1回の計2回が基本です。

ツルが畦を覆うようになって、取り残しの雑草がツルの上に出てくるようなら、畑の中に入って雑草を引き抜きましょう。

サツマイモのツルは踏んでも支障はありません。

このお悩みの監修者

山川理

山川アグリコンサルツ代表、農学博士

京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場では、サツマイモやイチゴの新品種を多数育成。1996年日本育種学会賞。1998年農林水産大臣賞。山川アグリコンサルツ代表として、食品関連企業の顧問や地域の活性化アドバイザーとして活躍。千葉大学園芸学部非常勤講師。『サツマイモの世界世界のサツマイモ: 新たな食文化のはじまり』など著書多数。

いいね（1）