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てん菜の直播栽培で安定した収量の獲得&収量アップをするには?

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てん菜の直播栽培で安定した収量の獲得&収量アップをするには?

北海道でじゃがいもを栽培しています。

高齢の父が農家を引退し、畑を譲り受けました。

せっかく畑の面積が広がったので、今まで栽培していたじゃがいもだけではなく、新たにてん菜の栽培に挑戦しようと思っています。

まずは情報収集をと思い、先輩のてん菜農家にいろいろ聞いたところ、栽培方法は直播栽培と移植栽培があるとのこと。

北海道では移植栽培がほとんどで、手間と時間がかかると言っていました。

一方で、移植栽培に比べて直播栽培は育苗作業が少ないため、作業時間を短縮できるそうです。

うちはじゃがいもの栽培があって労働力が少ないので、少人数でも栽培可能な直播栽培にメリットを感じています。

ただ、一般的に移植栽培の方が収量が多いとも聞くため、どちらが良いのか決め兼ねます。

直播栽培でも移植栽培とさほど変わらない収量を安定して獲得し、後々は直播栽培でも収量アップを目指したいたいのですが、それは可能でしょうか?

また可能だとしたら、どのような対策をとればいいか教えていただけないでしょうか?
(北海道・一ノ瀬司さん/仮名・40代)

稲野一郎

北海道立総合研究機構 農業研究本部農業システム部農業システムグループ 専門研究員

移植栽培から直播栽培への転換で作業時間が半分以下になります

直播栽培と移植栽培のメリット・デメリットを比較して、どちらが最適かを見ていくとよくわかります。比較ポイントは、「収穫量」、「作業効率」、「コスト」の3点です。

まず「収穫量」ですが、直播栽培と移植栽培の育苗期間には45日の差があることから、収穫量は平均して15%程度、直播のほうが減少する傾向にあります。

直播した場合は様々な初期生育障害から収穫量が減少してしまうため、実際の差は15%より大きくなる場合もあります。

つぎに「作業効率」ですが、これはこれまでの調査で作業効率の差がはっきりと出ています。

2004年には移植栽培が13.9時間、直播栽培が7.6時間だったのに対し、2018年には移植栽培が10.4時間、直播栽培が2.9時間と、この10数年でどちらも効率化が進んでいます(いずれも10a当たりの作業時間)。

また直播栽培にかかった作業時間は、2018年時では移植栽培の半分以下という結果に。作業効率が向上した要因は、作業機械の大型化や自動化、施肥方法の改良、直播技術の浸透の効果などが挙げられるでしょう。

最後に「コスト」です。2011年に網走地方の3軒の農家で比較した際の10a当たりの栽培にかかったコストのデータでは、A農家では移植栽培で1万4,545円、B農家では直播栽培で1万2,462円、C農家では直播栽培で1万1,852円となっています。

農家規模や栽培体系、労働力によって条件が変わるので一概には言えませんが、直播栽培の方がコストがかからない傾向にあると言えます。

以上のことから総合的に判断すると、移植栽培よりも直播栽培にメリットが多いことが分かります。

唯一の懸念材料である収穫量の減少に関しては、改善方法がありますのでそちらで対応するとよいでしょう。

最も重要なのは、初期生産量を確保することです。「堆肥の利用し、適切な土作りを行う」、「石灰質資材を圃場全体に散布して、作付け前の土壌phを5.8以上に矯正する」、「水はけを良くする」、「整地前にブロードキャスター(肥料散布機)で全層施肥や分施を行い、ストレスの少ないい施肥法に取り組む」などのポイントを遵守し、初期の生育障害をできる限り排除しましょう。

今回は人手不足が課題ということですので、直播栽培に転換することで課題解決に繋がるのではないかと思います。

初めは収穫量の減少が気になるかもしれませんが、ご紹介したように様々な改良点があります。作業が安定した後に、少しずつ改善していってはいかがでしょうか。

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