農アカデミーを卒業して自分の農地を借りた新米農家です。まだ農業をはじめて2年ほどで、毎日の作業に追われています。
多品目の野菜を育て、その中から土地や自分に合った野菜に絞っていこうと考えています。
現在育てているのは約20種類。露地栽培で、トマト、なす、ピーマン、きゅうり、オクラ、とうもろこし、にんじん、大根、キャベツ、レタス、ほうれん草などを栽培しています。
農薬の使用については必要最低限使う方向で考えています。だからこそ、展着剤の有効的な使い方が気になっています。
現在は作物ごとに農薬と展着剤の相性を調べて選んでいますが、それがかなり大変です。
農薬と相性がよく、効率的に使えるような展着剤を教えてほしいです。
(神奈川県・進藤さん/仮名・20代)
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
展着剤の効果に関しては未知数な部分があります
展着剤の主成分は界面活性剤です。界面活性剤には農薬の付着性や浸達性を高め、効果を高めてくれる作用があります。
展着剤は大きく3種類に分けられます。
薬をまんべんなく広がるようにして均一に付着させる「一般展着剤」、植物体内への浸透性を高める「機能性展着剤(アジュバント)」、雨などで農薬が流れないようにする「固着剤」があり、それぞれに特長があります。
「機能性展着剤」は、「一般展着剤」に機能をプラスさせたものです。薬剤との組み合わせによっては効果が高まるとされていますが、すべての薬剤・病害虫に当てはまるものではありません。
そのため、まずは実際に効果が高まる試験結果があるか確認することが重要です。
また、農薬が植物体内に入りやすくしているため、「機能性展着剤」の加用により作物に薬害が出やすくなる場合もあります。
使用前には販売会社に確認したり、小面積に散布して問題がないかを確かめることが必要です。
「固着剤」は果樹の病害に対する保護殺菌剤での耐雨性、効果の持続性を期待して使用されています。
ご相談者さまが展着剤選びに大変な思いをされているのは、非常に納得できます。
じつは展着剤の効果増強を調べた試験はいくつかありますが、『作物×病害虫×農薬×展着剤』の組み合わせで考えた場合、試験事例は組み合わせの一部にとどまっているのが現状です。
また、乳剤を使うときには展着剤は入れる必要がないという話を聞かれたこともあるかと思いますが、そういった場合でも展着剤の加用をすすめている場合もあります。
各生産地ではJAなどが栽培暦を作成していますが、栽培暦と合わせて農薬や展着剤の加用などを明記して指導している事例は少ないようです。
ちなみに栽培暦は「作物名+防除暦」で検索してください。