年間を通じて露地栽培で20種類ほどの野菜を栽培し、JAの直売所に出荷しています。
消費者の顔がわかるので、できるだけ農薬を使わずに栽培しようと工夫しています。
出荷する野菜の中で、サヤインゲンは6月下旬から10月上旬まで出荷し、畝ごとに時期をずらしながら播種や植え付けを行なっています。
ところが、最近アザミウマやアブラムシが発生し、最悪の場合には株が枯れてしまうこともあります。
直売所部会の仲間で、サヤインゲンを栽培している農家は、風よけと肥料効果を目的にソルガムを畑の周りに植えており、その畑ではあまり被害が出ていないそうです。
背が高く伸びるソルガムが害虫の畑への侵入を防いでいるのでしょうか?
(長野県・笠井和幸さん/仮名・60代)
和田美由紀
雪印種苗株式会社研究開発本部
ソルガムは作物の天敵害虫を誘引し、捕食してくれる益虫をすまわせます
ソルガム(ソルゴー)には物理的に害虫の飛来を防ぐ役目があると同時に、ソルガムの害虫であるムギクビレアブラムシがヒラタアブ類やテントウムシ類などの天敵を誘引し、結果として主作物の害虫も捕食してくれるメリットがあります。
こういった役割のある植物を「バンカープランツ」と呼んでいます。
もちろん、メインとなる作物の収穫が終了した後は、ソルガムを刈り払ってすき込みをすることで、肥料効果も期待できます。
ソルガムは品種によって草丈が異なり、出穂するか、しないかの違いも大きいです。
出穂後はソルガムの子実をめがけて鳥が寄ってくるため、鳥害を防ぐためにも出穂しにくい緑肥(当社では「つちたろう(ジャンボ)」という商品を揃えています)を選んでいただくのが良いかと思います。
その代わり、出穂しない商品は伸長を続けるため、播種から2カ月後以降は、定期的に目線の高さあたりでカットすることをお勧めします。もしくは、出穂してしまう緑肥であっても、穂を抜き取ることで鳥害を防ぐことができます。