東北地方で営む60代の米農家です。
この地域でも後継者不足は深刻で、数年前に仲間うちで農業組合法人を立ち上げ、協力することでなんとか米作りを続けています。
数年前から、農家の減少と高齢化を解決する方法として「スマート農業」という言葉をよく見聞きするようになりました。
最先端の技術を農業に取り入れることで、さまざまな問題を解決する効果があるそうですね。
保守的な人が多い土地なので、これまで、目立った取り組みをしてきませんでしたが、さまざまな問題が解決できるようなら、挑戦してみたいと思っています。
ですが、我々のように細々と生産しているような農家には不向きなのでしょうか。まず、何から取り組めばいいですか?
(山形県・奧野和彦さん/仮名・65歳)
下村豪徳
笑農和 代表取締役
ロボット技術などで生産効率を上げる農業のこと。まずは経営状況把握から
「スマート農業」とは、ロボットやITなどの技術を使い、生産効率を上げる農業のことです。携帯電話がスマートフォンに置き換わったのが、携帯電話分野での「スマート化」で、この「スマート化」を農業でもやってみようという取り組みです。
最近、「スマート農業に興味があるのですが、何から始めればよいですか?」と聞かれることが増えました。
しかし、前提として大切なのは「自分の経営課題は何か?」にまず向き合うことです。「スマート農業」は単なる農作業の省力化ではなく、あくまで経営課題を解決するための手段でしかありません。
その手段として先端技術を用いた「スマート化」が最適なら、投資する価値はありますが、そうでなければおすすめはしません。
そこでまずは一度、理想の経営状況を書き出してみてはいかがでしょうか。例えば、「3年後には作付面積が○○haで、何を栽培し、売上と経費がいくら、給与はいくらで、粗利がいくら……」など、明確な目標を書き出します。
そして、それぞれの項目の実現方法を具体的に考えることです。
現状と理想の状況との間にギャップがありましたか?それでしたら、何を改善すれば理想の姿に近づくのか?何が課題で改善できていないのか?を検討してみましょう。
それらを改善するのが「スマート化」であれば、そこから「スマート化」を本格的に検討し、まずは情報収集です!