栃木の山間部で高原野菜を栽培しています。最近は私たちの地区でも後継者不足で荒れた畑が目立ちはじめています。
特に傾斜地の畑はいったん荒れると、大雨の際に大量の土が流出し、道路の側溝や周辺の農地などに流れ出したり、畑の土手も崩れだしたりして、本当に厄介です。
そのため、中山間地域等直接支払の交付金を使って、傾斜地にある畑の境界部分や土手に、匍匐(ほふく)性のあるグランドカバープランツを植える取り組みも始めています。それでも、とても追いつきません。
また、耕作放棄地すべてには手が回らないものの、主だった畑だけは夏場は草だけ刈って管理をしています。
ただ、草を刈っただけにしておくと土の流出が起こるため、何か作物を植えて畑を管理しないことには、土の流出は止まらないのではないかと思っています。
かといって、それほど手間がかけられないので、あまり栽培の手間がかからずに畑の土の流出も防げるような作物があれば、教えてください。
(栃木県・斉藤健太郎さん/仮名・50代)
巽 和也
北海道立総合研究機構 中央農業試験場 農業環境部 環境保全グループ 研究主任
土壌流亡防止は水を地下に浸透させる土層改良と水の流れを抑える緩衝帯を組み合わせて
私たちは2015年から2019年度にかけて、北海道中部に位置する上川地方南部の美瑛(びえい)町で、傾斜地にある畑の土壌流亡を抑制するための技術の研究を行いました。
その成果をもとに土壌流亡防止対策についてご紹介いたします。
美瑛町は、輪作によって、四季折々で畑の景色が「パッチワーク」のように丘の町として有名ですが、その一方、このような丘陵地帯にある傾斜畑では、雪解け水や大雨によって畑の土が水と一緒に流れ出す「土壌流亡」の被害が増えています。特に豪雨災害があいつぐ近年では、肥沃な土壌が流出する被害が深刻化しています。
その原因を探ろうと、美瑛町に広がる150カ所近くの小麦畑で土壌の物理的な構造を調べたところ、作土の下に土の粒同士がガッチリと固まって水が浸透しにくくなっている堅密層が存在し、その結果、水はけが悪くなっていることがわかりました。
そこで、土壌流亡を防ぐ方法として、地表を流れる水を地下に浸透させる技術と水の流れを抑える技術のふたつの技術を開発していくことしました。
ひとつめの技術は、収穫後の硬い土の層に亀裂を入れることで、地下への水の浸透を増やし、地表を流れる水を抑制する土層改良の技術です。土層改良にはカットソイラーやサブソイラーなどの心土破砕機を使います。
カットソイラーは、トラクターで牽引して暗渠を作る農機具(北海コーキ開発)で、トラクターの後部に装着したブレードで、土に深さ30〜60cm程度の逆三角形の亀裂を入れます。
その穴に、細かく裁断した麦わらや刈り株などの収穫残渣をかき寄せて落とし込み、掘り起こした土を上からかけて戻します。土層改良は、一般的なサブソイラーでも可能です。
これにより、収穫残渣が埋められた深さ40cm近くまで土壌が柔らかくなり、埋設物を伝わって水が流れる水みちができます。
その結果、暗渠からの排水量は、土層を改良する前よりもおよそ3倍に増え、この効果は2年後も維持しました。こうして浸水率が高まったことに伴って、土壌の流失量も2〜3割程度削減されました。
ふたつめの技術は、小麦の収穫後に後作としてえん麦を作付する際、通常はすべてをすき込むところですが、部分的にすき込まない「不耕起地帯」を作ったことです。
具体的には、小麦収穫後に後作としてえん麦を作付けする際に、通常はすべての収穫残渣をすき込むところを、部分的にすき込まない「不耕起地帯」を作ります。その不耕起帯は傾斜面の等高線に沿って設けます。
こうして収穫残渣をすき込まない地帯を設けることで、ここが水をせき止める緩衝帯として機能し、秋の長雨や融雪時に土壌流亡を防ぐ効果を発揮するのです。実際、この緩衝帯によって雪解け時の土壌流亡量は約2割削減されました。
この緩衝帯と土層改良と組み合わせると、相乗効果で土壌流亡量は3〜5割に削減。
それまでは例年、秋まき小麦を作付けしていた圃場では、雪解け後の4月に必ず土壌流亡の被害が起きていました。
それが、8月の収穫後に土層を改良してえん麦を撒き、10月にすき込みの部分不耕起を行った結果、翌春の土壌流亡を防ぐことができ、畑の表面を水が流れた跡が確認されただけでした。
このふたつの技術は、普段の農作業の延長として農家の皆さん自身でコストをかけずに実施できます。
時期としては春先や収穫後の土壌が乾いている時に実施するのが効果的です。
また、緩衝帯の配置に関しては、圃場の形や作業の向きに合わせて帯状や点状など自由に設置できますので、工夫してみてください。
土壌流亡対策は地域全体で取り組む必要があります。
美瑛町ではこれまでも圃場の外に土砂が流れ出さないように、流れる水に含まれる土砂を溜めるための沈砂池を設置したり、木の枝を編み込んだ柵を明渠や斜面に設置したりと、さまざまな工夫をしてきました。
この技術を組み合わせることで、さらなる効果が期待されるところです。
農研機構のWebサイトでも詳しく紹介されていますので、ぜひお試しください。
和田美由紀
雪印種苗株式会社研究開発本部
傾斜畑には永年性の被覆植物「レッドトップ」がおすすめ
ご質問を見たところ、手がつけられている圃場とそうでない圃場があるようなので、傾斜畑で条件の悪い圃場が地域に点在しているのだろうと想像いたします。
すでに圃場の境界部分や土手に匍匐(ほふく)性のグランドカバープランツを植えていらっしゃるとのことですが、それが追いつかないというのは、植えた被覆植物が広がるのに時間がかかっているのか、それとも必要な場所に種まきする労力が追いついていないのか、どちらでしょうか?
また、どのような品種を植えられているのでしょうか?
私がおすすめしたいのが、「レッドトップ」という草種です。
耐寒性が高いだけでなく、耐暑性にも優れ、細長い根茎を伸ばして旺盛に繁殖します。永年草なので、一度播種すれば数年先まで刈取りなどの作業なしに維持することができます。
しかし、デメリットもあります。毎年6~8月に出穂しますが、イネ科の牧草なので斑点米カメムシ類が寄ってきてしまうこと、また生育旺盛な時期には草の高さが80cm程度まで伸びてしまうことなどです。
そのため、見た目や虫を気にして刈り払いすると、その残渣が堆積したまま残った場所は、せっかく育った株が弱ってしまい、そこからまた別の雑草が生えてくることがあります。
確実に定着させるためには、雑草との競合が少ない秋の時期(9月下旬~10月中旬頃)に播種してください。
播種する年の夏のうちに、除草管理をしっかりと行い、播種床を整地しておくことがポイントとなります。
畑で営農を再開するときには、どんな植物にも有効な非選択性除草剤を使って草を退治し、耕起することで、次の作物を栽培することが可能になります。
なお、ムギ類やヘアリーベッチなどのマメ科植物を育てるという選択肢もありますが、これらは一年草であるため、毎年の播種が必要となり、手間がかかります。
そうした点も考慮しながら導入植物(作物)を決めてみてください。
zhanzhang hu
すみません! 日本での就職はこの方法でしかできません。農協は外国人労働者をよく募集しますか。
日本で農業従事者としての仕事を見つけたいです。 日本で安定した小規模農家になりたい。 しかし、外国人がどのようにして日本に農業に行くかについての情報はまったく知りません。 昨日Facebookアカウントを登録しましたが、中国本土からの外部情報はめったに見ません。 このFacebookアカウントからしか仕事の機会を探すことができません。お手数をおかけしてすみません。 ごめん! 私は20歳まで田舎に住んでいて、両親と一緒に農業をしていました。 都内で30年勤務。 仕事と生活のために日本に行くことを夢見ています。 これは Google ソフトウェアを使用して翻訳されています。 ありがとう!huzz158@gmail.com