父の時代から40年あまり耕作してこなかった、20アールほどの農地が山の中にあります。
その場所に、私が植えたわけではないのですが、灌木に混ざってコナラやクヌギが何本も生え、大きく成長してきています。
この場所は「農業振興区域内」の農地のため、農地転用は原則できません。
しかし、できれば自然に生えてきたコナラやクヌギの木を伐採して萌芽更新し、伐った木はしいたけのほだ木として活用し、林地として利用できたらと思っています。
このように事実上林地化状態にある農地を、そのまま林地として活用することはできないでしょうか?
(栃木県・斉藤昭彦さん/仮名・50代)
大賀祥治
九州大学 名誉教授、中国吉林農業大学 教授
行政面は別として、しいたけ栽培の技術的な部分としては可能です
農地と林地の定義や互活用の可否などの行政面は別として、しいたけ栽培の技術的な部分に限って回答します。
耕作放棄地のひこばえで自然に育ったコナラやクヌギを使って、しいたけ栽培に活用するのは良い考えだと思います。
これらの樹種は、伐採した根株から出た芽(萌芽)を更新することで雑木林を維持し続けます。
森林の管理として、針葉樹人工林のような伐採、集材、植林など特段の手間がかからず、適宜伐採してしいたけの原木栽培に活用することは、理にかなったことと言えます。
労力の面では、元来の農地であれば平坦な地位で、急峻な山地に比べて圧倒的に作業効率が良いように思えます。
植菌したあとのほだ木の管理や、しいたけの収穫作業がはかどる優位な条件です。
天然のコナラ、クヌギ林を積極的に利・活用して、しいたけの原木栽培を行ってください。