和歌山県のみかん農家に嫁いで、5年になります。
スタッフは10名程度で、秋から春にかけての「極早生(ごくわせ)みかん」から清見オレンジの収穫まで続く繁忙期には、パートやアルバイトも受け入れています。
結婚前、私は従業員が100名ほどの企業で事務職を担当しておりました。
そのせいもあり、書類の扱い方が気になって仕方ありません。
伝票や契約書やパートさんたちの勤務状況の一覧などといった大事な書類が空き箱や紙袋に乱雑に突っ込まれているだけなんです。だから探すのも大変です。
しかも、義父は汚れたままの手で触るので、紙が泥で汚れていることもあります。
紛失した書類を探すために、休みを丸一日使うこともあります。
あまりにひどいので改善したいと言っているのですが、まったく聞き入れてもらえませんでした。
義父専用の「なんでも入れていい箱」を作り、ポイポイ何でも入れてもらい、その後に私がフォルダで仕分けする方法を提案し、渋々納得してもらいました。
しかし、今度はやる前から「探すのが大変になりそう」と言われる始末です。
農家ならではの書類の分類方法や分類の項目、使いやすい整理アイテムなど、知恵を貸してください。
(和歌山県・山本さん/仮名・40代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
焦らずに周囲を巻き込みながら整理整頓していきましょう
以前は100名ほどの企業で企業に勤められていて、事務職を担当されていたのですね。農家に嫁いで管理レベルのギャップに驚く気持ちはすごくわかります。
実際、農作業の後の事務処理は想像するよりずっときついものがあります。やはり体が疲れていますし、作業の後に頭を使いたくないという状態になる場合が多いですから。その習慣を変えるというのは、簡単なことではないと思います。
一般企業等は、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の順番で改善を進めていくことが多いので、まずは慌てずに基本的な整理、整頓から状況を変えていくことがよいのではないでしょうか。
まずは、不要なものを片付けるところから始め、5段書類ケース等やファイルボックスなどを用意して書類の置き場所を決めることが第一段階になると思います。必要なものを必要なときにすぐに使用できるように、決められた場所に準備しておくことが整頓の鉄則です。
整理は、必要なものと不必要なものを区分し、不必要なものを片付けることです。とはいえ、必要なものと不必要なものの判断に迷う場合もあるでしょう。
その場合は、あまり考えずに未判断ボックスという形で、段ボール箱にまとめて時間をおいて再確認してください(長くても数カ月後)。それでも判断がつかない場合は、思い切って廃棄してもよいでしょう。
ファイルに整理した書類も、取捨選択が重要です。ファイルに赤札(付箋でも可)を貼り、使ったらはがす。3カ月後にそのまま赤札がついているものを捨てる、という方法もあります。
ただ、このご質問内容を拝見する限り「なかなか聞き入れてもらえない状況」のようですね。こういう状況だと、するに逆戻りになってしまいます。そこで、自然に巻き込む工夫が必要となります。
「安いのを見つけちゃって、つい買ってきちゃいました。試しに分類しちゃっていいですか?」とか、あえて正論をぶつけないでジワジワ巻き込みながら、いつの間にか整理されている状態を作るイメージを描くことが有効だと思います。
まわりをうまくコントロールして、ストレスを溜めずに整理が進むことを祈っております。