群馬県でキャベツやきゅうり、ほうれんそうなどを中心にさまざまな野菜を栽培しています。
まだ30代前半ですが、「早めに責任感を持って農業をやってほしい」という父の願いもあり、実家の農業を引き継ぐことになりました。
そこで今後農地を受け継ぐことも含めて、事業計画を作ることになりました。話し合った結果、私と父が互いに計画を作って、すり合わせることにしました。
そこまでは良かったのですが、いざ照らし合わせてみると、かなり食い違いが出てしまいました。
父からは「お前は農業を知らない素人だからダメなんだ。こんなんじゃ任せられない」と否定されるばかりです。
私は自分の意見を無理に押し通すつもりはありませんし、父を言い負かしたいわけでもありません。
ただ冷静に計画を立てたいだけなのですが、あまりにも意見が合いません。
親しい農業仲間に話し合いに入ってもらいましたが、結局は平行線で終わってしまいました。
事業計画づくりを冷静に話し合って決められるよう、仲裁してくれるような組織はないのでしょうか?
もしくは事業計画づくりを円滑に進められるノウハウを知りたいです。
(群馬県・小林健太さん/仮名・30代)
伊東悠太郎
水稲種子農家
互いのズレを認識し、話し合いましょう。段階的に任せてもらう方法も
同じく家族経営でやっている身として、相談者さんのお気持ちが痛いほどよくわかります。自分の思いどおりに親(あるいは子)が動いてくれないので、非常にもどかしい気持ちになっていると思います。
まず前提として、親子で1つの事業を一緒にやっていくということは、事業計画に限らず、複数の人間の考えや意見を1つにまとめるときに、必ずズレが発生します。今回の場合は、そのズレがはっきり見えているはずです。まずは食い違いを書き出し、ズレを埋めていくための話し合いをしてください。
また、ズレの重要度を確認することも大切です。お互いに「これだけは絶対に譲れない」ということを共有してください。どちらかが折れることは必要となりますが、譲れないこと以外の部分に関しては、お互いに妥協するように進めてください。
あるいは、段階的に権限や責任を委譲してもらうような計画を考えてみるのはいかがでしょうか。「今年は」「この面積は」「この品目だけは」親の口出しなしでやらせてもらい、うまくいけば権限を増やして解決していくというイメージです。
そうすると、例えば「この品目で500万の利益を出せたら、次は面積を拡大」などと目標設定をすることも重要になってくると思います。そのような中で着実に結果を出していけば、時間がかかるかもしれませんが、認めてもらえるようになるのではないでしょうか。
それでも難しいようであれば、経営を別にして、互いに干渉せずやっていく方法もあると思います。親には親の長年の経験に裏打ちされた考えがあるでしょうし、相談者さんには親のやり方にとらわれずにやりたいこともあるでしょう。
メンタルや時間を消耗するくらいなら、いっそのこと別経営という選択肢も十分にあり得るのではないかと思います。