6次産業化に興味がある、茨城県在住の30代です。
県の支援センターのサポートで、後継者不足に悩む農家さんとマッチングしてもらい「第三者承継」という形で共同で農業を行っています。
いままでの農業経営から脱却して、6次産業化を目指していますが、商品開発や設備の見直し、マーケティングの知識不足などを考えると、多額の初期費用がかかってしまいそうです。
そんなときに、6次産業化推進のための認定事業者になると、補助金・助成金が受けられることを知りました。
認定されるためには条件がありますが、事業計画の作り方などがまったくわかりません。
自分の頭のなかの理想をサポートセンターの担当者に話してみましたが、具体性や将来の継続性がまったくないと言われてしまいました。
申請のノウハウや具体的な計画の立て方など、どこから手をつけていけば良いのでしょうか。
正直、経営の知識はないですし、すべてが手探り状態です。
そんな状態で無理して挑戦すること自体が間違いなのでしょうか。
(茨城県・鈴木さん/仮名・30代)
藤野直人
株式会社クロスエイジ 代表取締役
6次産業化によって利益がでる3つのパターンを確認し、今後の方針を決めましょう
計画の作り方は、2004年に出版された『加工特産品開発読本―食と農のマーケティング』という本が参考になります。弊社が創業した2005年から、教科書代わりに使っていました。15年以上前の本ですが、いまも通用する内容です。
商品企画や市場調査、コスト計算や採算目標の立て方、研究開発から実際に製造するまでの流れなどが記載されてます。まずは計画を立ててみたいという方におすすめです。
続いて、6次産業化を行う目的についてです。6次化をして経営が改善する(利益が出る)のは、3つのパターンに分類されます。
1、果樹農家など、年間を通じて仕事がない場合、6次産業化に取り組むことで仕事量の平準化(作業量を均等にする)ができ、結果として雇用や規模の拡大につながる。
2、家族経営で生産を行い、1,000万~3,000万円の売上を達成できた。今後は規模の拡大により単価の向上を図りたい。
3、青果で1億近くの売上を上げるようになり、3億円を規模の拡大でなく1次加工や加工品開発で実現したい。
生産現場の規模拡大は大変そうに感じますが、しっかり差別化(品質、供給量、年間供給、低コスト化など)ができていれば、6次化に着手する時の差別化要素が豊富になります。反対に、生産現場が工夫されていないと、加工(6次化)や販売で差別化が必要になります。しかし、そこには食品製造業や販売業者といったライバルがたくさんいるのです。
いま、自分の生産現場がどれくらいの規模感なのか、青果で売ってどれくらいの売上になるのか、今後生産現場で差別化を図るのか?、いきなり6次化に着手するのか?そのあたりの現状認識と今後の方針をはっきりしておくとよいでしょう。