愛媛県で、約10アールの農園で温州みかんを中心に柑橘類を育ててます。
家族経営ですが、温州みかんは繁忙期と作業の手が空く時期がはっきりしているので、忙しい時はパートさんに手伝ってもらうなどしてやりくりしています。
冬から春先は次のシーズンに向けた準備や剪定作業に取りかかり、春からは花が開く前につぼみを間引く摘蕾作業や、防除を実施、夏には樹の様子を見ながら、成りすぎた果実を間引くための摘果作業や日焼け対策などに追われ、収穫の秋が最も忙しくなります。
みかん農園の裏には、台風対策のために防風林を植えているのですが、普段から作業の合間に枝を伐採しています。
そんなおり、先輩農家から、農家が林業を兼業するという仕組みがあって、補助金も出るらしいという話を聞きました。
その時は忙しかったので深くは尋ねなかったのと、お金にがっついているみたいで詳しく聞けなかったのですが、体力には自信があるし、もしも副収入になるのであれば、自分もやってみたいと考えています。
一体、どんな制度なのでしょうか?
(愛媛県・福島真一さん/仮名・30代)
上垣喜寛
NPO法人自伐型林業推進協会 事務局
数年かけて準備しながら始めるきっかけを探ってみましょう
春夏=農業、秋冬=林業。通年仕事ができる、理想的な山間地の暮らしです。今の暮らしにどの程度、林業を加えるかがポイントになりそうです。
所有されている山林の面積はどれぐらいあるのかわかりませんが、山でそれなりの収入をあげている自伐型林業者は、平均で年間3〜5haの仕事をしています。
自伐型林業は、伐採して販売するだけでなく、任されている山を永続的に管理するものです。毎年そこで仕事をするので、初期の頃はいつでも山に入れるように、また狙った木を山から出せるようにするために、道づくりが必要です。
今は豪雨や土砂災害もあるので、山の地形や排水を考えた「壊れない道」を自ら作るのが肝要です。切りすぎて光が入りすぎたり、風を呼び込み倒れる危険性もあり注意が必要です。
補助金は、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」ですね。林野庁が小さな林業にも使えると言っているものです。年々、補助内容が変化し、今はボランティアグループが活用するようなものになっている傾向があります。
それなりの面積で、本格的に考えている場合は、NPO法人自伐型林業推進協会に直接個別相談し、各地にある相談窓口を紹介してもらい、研修に参加すると、仲間とも出会えていいかもしれません。
林業全体が大型化しており、県や自治体に聞いても、小さな林業の情報を持っていないことも多く、「できない」「補助はない」と門前払いを受けることも多いです。たとえ小さなところからでも、困り事を抱えている地域の山を集めるなど、やる手段はあります。愛媛県のみかん農家の山林所有者はたくさんいるはずです。
すぐには収入になるかわかりませんが、まずは2〜3年の準備期間を構えて、情報収集や研修会への参加をしながら始めるきっかけを探ってみて下さい。農家林家の道、ぜひ切り拓いて下さい。