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高齢化と過疎地で悩む集落。将来像を話し合う会議に若い世代に参加してもらうには?

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高齢化と過疎地で悩む集落。将来像を話し合う会議に若い世代に参加してもらうには?

中山間地域にある高齢化と後継者不足が進む集落で、集落協定組織のリーダーをやっています。

現在「中山間地域等直接支払交付金」の給付を受ける関係で、「集落戦略」という集落の将来像や農業の課題と対策の取りまとめを、協定最終年度(2024年度)までに作成しようと動いています。

最近、協定に参加する農家全員に、今後の管理をどうするかについてアンケートを実施しました。

すると、80歳前後の高齢農家の多くがリタイアを希望し、農地は農地中間管理機構を通じて担い手に貸し付けたいという声が多く寄せられました。

また、作付けはせずに草刈りだけを行いたいという人も多く、今後の集落の農業に不安を感じています。

集落には、農業を行う高齢の親と同居し、勤めに出ている後継者(40〜50代が多い)がいる家も少なくないのですが、農業を継ごうと思っている人は少ないように感じます。

集落協定組織や農家組織の話し合いでも、高齢の親たちが出席し、後継者の参加は少ないのが現状です。

しかし、今後集落の農業を担っていくのは若手なので、ぜひ集落戦略を考える話し合いにも加わってもらいたいと考えています。

若手の後継者に話し合いに参加してもらい、自由に意見を述べてもらうためには、どのように呼びかけ、話し合いを進めていったらよいでしょうか?
(山口県・河村雅和さん/仮名・60代)

伊東悠太郎

水稲種子農家

現状を「見える化」して、若手が参加しやすく、本音を言いやすくなるにはアンケートがオススメ

若手後継者に話し合いに参加してもらって自由に意見を述べてもらいたいと希望されているようですが、「今度、集落の話し合いをするから来て、意見を聴かせて欲しい」といきなり言っても、応じてもらうのは難しいと思います。

まずは若手が参加しやすくするには、どうしたらよいのかを考えてみる必要があります。私が考える案を3つ挙げてみます。

1つめは、アンケート調査を親世代と子世代の双方に行うことです。

集落でのアンケート調査はほとんどの場合が親世代だけが回答するようなものばかりではないでしょうか。そこで、親世代と子世代それぞれにアンケートを行ってみるのです。

その際に、設問内容も世代間の考えの差が見えるように、同じ設問もいくつか用意するとよいでしょう。

前向きな意見だけではなく、後ろ向きな意見も大事です。「なぜ参加したくないのか」、「何がネックになっているのか」などが把握できる質問も用意してみましょう。本音を書きやすくするために、匿名での回答もOKにするとよいと思います。

また、アンケートの対象は、既に集落の営農活動に何らかの形で参画している人に限らず、集落には住んでいるが今は参画していないという人なども含めましょう。

なお、「北海道士幌町畑作ゼミナール~後継者自身が後継者のために考え、実行するプロジェクト」の取り組みが参考になりますので、ご参照ください。

2つめは、子世代限定の座談会を開くことです。

集落の話し合いは親世代が出るものという認識になっていると思いますが、子世代だけを集めた座談会を開催してみてはいかがでしょうか。

その際に、いきなり「集落営農をどうするか」という重たいテーマにするのではなく、最初はもっとフランクなテーマ設定にしてみましょう。

話し合いは1回を長時間やるよりも、複数回で短時間やる方がハードルは下がります。また、既に集落で定期的に行っている会合と抱き合わせる方が負担感も少ないかと思います。

また、スムーズに話し合いが進むように、子世代の話し合いに親世代は絶対出席しないというような配慮も重要です。どんな意見が出たかのかはあとで報告する形にする方が本音が言いやすくなるはずです。

3つめは議論の材料(ネタ)を「見える化」することです。

アンケートや子世代座談会をするにしても、議論の材料(ネタ)が必要です。そのために集落あるいは集落営農に関するさまざまなものを「見える化」してみましょう。

たとえば、「集落営農の活動に参加したいと思いますか?」と質問をされても、「いや、活動の中身をよくわかってないので何とも言えない…」という反応が容易に想像できます。

そこで、集落内の営農活動の状況、また農地管理や集落営農に関する将来予測のようなものを、可能な限り見える化していくとよいかと思います。

これらのエッセンスは私がJA全農在職中に発行した『事業承継ブック集落営農版』にまとめています。その内容にそって取り組んでいただければ、比較的スムーズに進むのではないかと思います。

集落営農の世代交代を考えるうえで、私が大事に思っていることをいくつか挙げてみます。

あくまで主役は子世代です。親世代が「あーだ、こーだ」言っても、今後どうしていくのかを決めるのは子世代です。だからこそ、子世代の本音を徹底的に聞き、子世代がやりたいようにやらせてあげて欲しいと思います。

そのうえで、私は集落営農も定年制を設けるべきだと思っています。ところが、集落営農の担い手は、「定年者の就農に頼れば何とかなる」と考えているところが少なくなく、それが逆に「全然若い人が入ってくれない」という嘆きやぼやきにつながっているように思います。

親世代が頑張れば頑張るほど、子世代が参画しにくくなるというような逆効果が生じることも多いと思います。

例を挙げれば、スマート農業の導入は世代交代の良いきっかけにつながるはずですが、「若い人に農業に興味を持って欲しいと思ってドローンを導入しました」という経営体であるにもかかわらず、免許を取るのは親世代で、子世代がドローンを使えないというようなケースも最近よく目にします。

本当に若い人にやって欲しいのであれば、免許を子世代に取得させるように仕向けていくことも大事なはずです。

集落営農の現実はそう甘くはないと思っています。実際には集落にいる子世代が誰もやらないという事態も十分起こり得ることです。その場合でも「わしらの代で終わりかのぉ」と嘆くのでなく、第三者承継に向けて動き出すべきです。

血縁や地縁でバトンパスできるなら、それがよいと思いますが、価値観も多様化するなかでは新規就農者や移住者なども事業継承の有力な選択肢ではないかと思います。

集落営農の世代交代はいろいろな人たちの思いが交錯するので、特に時間がかかります。今は不安や心配ばかりが先行すると思いますが、JAグループをはじめ、いろいろなところに相談しながら、とにかくアクションを起こしていくことが重要です。

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