両親の代から稲作をしている、2代目の農家です。近所も稲作農家が多く、昔から他の農家とも家族ぐるみでお付き合いをしてきました。
仕事面で助け合うことも多く、特に近所の2軒の農家とは温床とコンバインを共同で使っています。
親の世代から続いている共同作業ですが、うちと同様ほかの2軒も2代目に世代交代し問題が生じてきたのです。
1軒はうちと同じく2代目の息子で、もう1軒は脱サラしてきた農業未経験の娘婿。
この2人の相性がとことん悪く、農家の息子が娘婿を見下すような態度も相まって、雰囲気は最悪。しまいには、2軒とも共同作業を辞めると言い出しました。
うちとしては共同作業を辞められると金銭的にも労働力の面でも、とてもじゃないですが稲作を続けていけません。
私が仲裁に入ってなんとか共同を続けるべきか、共同を解消して独自のプランを考えた方がいいのか、どうしたらいいのか本当に困っています。
(北海道・高梨淳さん/仮名・30代)
竹本彰吾
有限会社 たけもと農場
共同利用で2人が会わないように配慮するなどできることからアプローチを
どの業種においても人間関係は1番の悩みどころですね。稲作を続けることと、ふたりの仲の悪さをなんとかする(我慢するあるいは仲裁に入る)ことを天秤にかけて、考えなければなりません。
相談者さんの立場に立って私ならどうするかを考えたときに、まずは「ふたりが同じ時間、同じ場所で作業することがないよう配慮する」といったアプローチを試みると思います。
それでもふたりが拒否するようであれば、共同営農は難しいかもしれません。
相談者さんが他人の苦痛を背負っても、誰も幸福にはなりません。大変かとは思いますが、悩みごとを先延ばしにせず、皆がハッピーになるよう頑張ってください。
伊東悠太郎
水稲種子農家
ピンチをチャンスに。既存の仕組みを変えることも視野に入れましょう
ふたりに仲直りしてもらうことができれば一番良いのでしょうが、相談者さんの話を聞いている限り、それはかなり大変なことだろうとお察します。
また、ふたりの間に仲裁に入ったとて必ずしも良い結果になるとも言えません。まずは共同営農を解消した場合のことを考えてみましょう。
相談者さんのように、他のふたりにとっても共同営農解消はマイナスになることはないでしょうか?
また、相談者さんがこれだけ苦悩していること、共同営農を解消することで相談者さんの営農が厳しくなることに対し、ふたりはどう思っておられるのでしょうか?
もしそうした思いがない、あるいはプラスもあるけどマイナスが上回るといった状況なのであれば、残念ながら現実的には共同営農を解消し、違う道を考え始める方が良いかもしれません。
今回の解消を前向きに考え、既存の共同営農の枠組みにとらわれない新しい仕組みを創り上げるチャンスととらえてみてはいかがでしょうか。
その場合は、そのふたりのどちらかと共同営農を継続するのか、どちらとも関係を断ち全く新しい方と共同営農等を模索するのか、という選択肢が出てきます。
お互いに思いやり、メリットを共有できるパートナーを探すことが相談者さんにとって最良な選択になると思いますので、ぜひ前向きに向き合ってみてください。