30代の野菜農家です。私は大学卒業後、就職のため地元を離れましたが、2年前から家業を継ぐため就農して日夜修業中です。
組合や消防団などにも所属していて、地域の会合や寄り合いにも参加するようになり、やりがいを感じています。
しかし、他の農家さんと関わるようになって痛感していることがあります。
それは、ベテラン農家さんが多いため、昔話や過去の実績自慢ばかりしていることです。
その場にいない人の悪口を言っているのを見ることもあり、ちょっとうんざりしてしまいます。
田舎の狭い世界なので仕方ないかな…と諦める一方で、新しい技術の情報交換や今後の課題など、今後の農業についての話題を話し合いたいと思っています。
若い世代が意識を変えていきたいです。地域の会合や寄り合いを、ベテランの先輩たちと今後について語る場にしていくにはどうすればいいと思いますか?
(京都府・佐藤さん/仮名・30代)
伊東悠太郎
水稲種子農家
ベテランに抵抗せず、若い世代を巻き込み将来のビジョンを持ちましょう
類似のケースは日本中にあるだろうと想像でき、お気持ちは痛いほどわかります。一方で、相手がある話ですから、明快な解決策をご提案するのは難しいことですね。
まず、同じものを見ていても、見え方は人それぞれに違うことを理解してください。生まれ育った環境も世代も異なる時点で、見えている景色が違うと思えば少しは気持ちが楽になりませんか。
相手を変えるには、非常にエネルギーがいります。「諦めも肝心」という言葉があるように、ここは潔く諦めましょう。自分の考え方や行動を変える方が得策だと思います。
すでに日本は人口減少社会に突入し、少子高齢化は農村部ほど顕著です。皆さんの地域は、将来何人残るでしょうか。
これまで30人でやっていたものを20人で、あるいはもっと少ない10人でやっていくというような時代が必ず来ます。
今は、新型コロナウイルスの影響で、地域の集まりや行事が中止になっているかもしれません。少人数で地域を担う時代を見据え、残すべき集まりや行事について、より効率的な運営について議論するにはちょうどよいタイミングでしょう。
これは農業に限らず、地域に関わることすべてに当てはまります。
相談者様の周りには若手農業者もおられるようなので、個人より同世代を巻き込んで動くのが良いでしょう。
農家だけでなく、異業種の同年代、女性たち、その他関係する人々を巻き込むのがベストです。まずは集まって、自由闊達に意見を出せる場を提案してみてください。
公民館での会合もいいですが、あえてオンライン限定開催にするなども有効です。こうして徐々に若手世代が主導権を持つようになれば、前向きで建設的でハッピーな展開があると思います。