新潟県の佐渡島で定置網漁をしているのですが、以前と比べて漁獲量が減ってしまい、安定して獲れなくなりました。
原因として考えているのは、中国や韓国の漁師による乱獲だと思います。中国を中心にアジア圏で魚の消費量が伸びているため、その影響は少なからずあると思います。
そのほかにも、海洋汚染などさまざまな原因があると思いますが、このまま漁獲量が減っていくと、定置網漁の株主である地域住民への配当金が出せなくなり、地域経済が低下していきます。
また、漁師のボーナスもカットされ、私たち漁師の生活にもダメージがあります。
会社の経営を安定させるため、流通にかかっているコストを下げられないかと考えています。
島という環境なので、本土の漁師よりも流通にかかる費用がかかっていしまうのです。
具体的にどのように流通コストを下げていけばいいのか、アドバイスをいただけないでしょうか。
(新潟県・宇野さん/仮名・43歳)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
産地間でトラックの集荷ルートを連携してみてはどうでしょう
基本的に、流通コストを削減することは簡単ではありません。例えば、定置網漁では、各地で神経締め出荷が行われているように、むしろ、漁獲物に付加価値を付けて、高価格での販売を目指す方が良いのではないでしょうか。
その結果、増えた売上額で流通コストを吸収し、利益を生み出すという対応があり得る方策でしょう。
ただし、条件によっては物流コストを削減できた例もあります。陸上運送の場合、搬送料はトラック1台○○円で動いています。
そのため、トラックに積載重量いっぱいまで積めば、魚1キロ当たりの運賃は安くなります。
しかし、ひとつの産地だけでトラックの荷台をいっぱいにすることが難しくなってきています。
そこで、トラックが集荷するルートを産地間で連携し、トラックがそれらの産地を回れば荷台が埋まるような仕組みをつくれば、結果的に各産地の物流コストは削減できます。
また、トラック便は、拠点になる都市間(例えば東京-名古屋、東京-金沢など)を往復しています。
例えば東京から金沢までの便には荷物があるが、金沢から東京までの便にはあまり荷物がないという場合には、金沢から東京への便の運賃は割安になっていることが多いようです。
そのようなトラック便に金沢から新潟経由で東京に行ってもらうようにお願いすると、場合によっては、新潟の地元の運送業者よりも割安に運べる場合もあります。
このようなことは、関係する物流業者に相談しないと分からないことですので、まずは、関係者を通じて、物流業者を紹介してもらい、相談してみましょう。意外と物流コストを安くできる場合があるかもしれません。