実家が農家で、ブロッコリーや小松菜などの野菜を中心に育てています。
自分は大学卒業後、一般企業に就職しましたが、実家を継ぐ形で就農した新米農家です。
両親が育てている野菜は、父親のアドバイスがもらえるので確かに育てやすいのですが、手間がかかる割に高く売れず、売り方や販路もマンネリ化しています。
時々、種苗メーカーのカタログを見て「もっと高く売れて、育てるのにお金がかからない野菜はないかな」と情報収集していますが、目移りして、逆に絞り切れません。
これまでにも「これなら育てやすそう」などと、あれこれチャレンジしてみましたが、まだ「これだ!」という作物を見つけられません。
栽培しやすく、利益が出やすい野菜は、どのように見極めればよいのでしょうか?
(埼玉県・高橋さん/仮名・30代)
鈴木光一
鈴木農場・伊東種苗店
どこで売るのかを考えましょう!品種選びは種苗店に相談を
育てやすいのは、気候や環境に合ったものです。ただし、安定した収入を確保しようとすることと、育てやすいことは相反するものなのです。作りやすい、育てやすいということは他の人にとっても同じことなので、その分市場に出荷される量も多くなってしまいます。
そうした観点からすると、品種を選ぶ際には「どこで売ろうとしているのか?」を考えることが重要です。市場出荷なのか、直売所で売ろうとするのかによっても変わります。
直売所でたくさん売れるものを選ぶなら、他の農家と同じ時期に同じものを作っていてはダメで、少し早蒔き・遅蒔きにして出荷時季をずらすなどの工夫が必要です。作物の旬に合わせて作りながらも、出荷する期間の幅を広げてみましょう。
また、直売所で販売する場合は、事前に「いつ・どこで・誰に向けて・何を・どのように」買ってもらいたい、食べてもらいたいかについて、しっかりと考えておくこともが重要です。
そうは言っても、まだ経験の浅い人が種苗カタログを通して新たな品種を見極めるというのは至難の業です。そのため、まずは地域の種苗店に相談してみてはいかがでしょうか?カタログを見て、写真やキャッチコピーが気になるものがあれば、「これが気になる」と聞いてみましょう。そうすれば、求める情報を提供してもらえます。
種苗店や担当者によってもさまざまですが、皆、その道のプロとして「引き出し」があります。ネットの情報は確かに充実していますが、表面的な部分だけでなく、一歩掘り下げた内容に関しては、種苗店が最もよくわかっています。さらに聞きたいことがあれば種苗店に依頼して、メーカーへ問い合わせてもらうのも有効です。