静岡県の60代農家です。
夏場はとうもろこし、秋以降はしいたけを中心に季節の野菜を生産しています。
他の農家さんも同様かもしれませんが、我が家でも後継者のことで悩んでいます。
子供は姉妹二人で、上の娘は早くに他県へ嫁いでいきましたので、盆暮れに孫を連れて帰省してくるのを楽しみにしております。
同居する下の娘は安定した企業に正社員として勤め、忙しい身ですが、繁忙期にはよく手伝ってくれるよくできた子です。
その次女が「もしもお婿さんがきてくれるなら家業を守りたい」と言ってくれています。
私どもも、そうなってくれることを望んでおりまして、親類縁者や心当たりのある方には良い人がいれば紹介してほしいと頼んでいます。
もちろん良い方が現れて、夫婦となるかどうかは二人次第ではありますが、婿養子が条件ですので、やはり今どきの男性にはハードルが高いのでしょうか?
(静岡県・岸尚造さん/仮名・65歳)
伊東悠太郎
水稲種子農家
本人の意志が最優先!婚活するなら行政やJA主催イベントやサイトを活用してみては?
結論から申し上げますと、ハードルは高いと思います。とはいえ、何らかの行動を起こさなければ事態は前進しません。よく話し合ったうえで計画や目標を決め、行動することが大事ではないでしょうか。
事業承継の相談では、後継者の結婚に関するものが多いです。ここはまず、事業承継と結婚を切り分けて考える必要があります。
家業については次女に継ぐ意志があるようですが、もしお婿さんが来なければ継がないのでしょうか? 娘さん自身の「継ぐ・継がない」に関する条件を話し合うことも必要ではないかと思います。
そこをクリアにしたうえで、結婚相手に求めることを明確にするのが良さそうです。まず、絶対に譲れない条件とは何でしょうか?
「お婿さんになって農業を一緒にしてもらうこと」か「お婿さんにさえなってくれれば農業以外の仕事でも良い」のか、などをはっきりさせるのはいかがでしょうか。
絶対に譲れない条件が明確になれば、妥協できる条件が決まります。そうなったら、あとは相手探しを始めるだけです。
しかし、最近ではいわゆる仲人の役割を果たしてくれる人は少なくなりました。結婚自体がセンシティブ(細心の注意を払うべき)なテーマとなっていますから。一方で、行政やJA主催の婚活イベントは増えています。
また「JA青年部」や「4H クラブ(農業青年クラブ)」などのイベントで、未婚の男性若手農業者と知り合うこともできます。
私がJA全農に勤務していた2016年以後、4Hクラブと連携して女性農業者向けの婚活イベントを企画したこともありました。