私は農家で農業組合の婦人会にも所属しています。
婦人会では「経営におかしいと思ったことがあっても家族は誰も聞いてくれない」「嫁の立場が低すぎる」という悩みをよく聞きます。
農業をしている仲間の女性のために、何かできないかと考えてはいますが、他人の家庭に口を出せるような立場でもなく、ただ愚痴を聞く役割に徹しています。
地域や組合を巻き込んで意識改革が必要だと思うのですが、農家の女性の立場を向上させるために、何か取り組めることがあれば教えてください。
(広島県・稲見あゆみさん/仮名・30代)
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私は農家で農業組合の婦人会にも所属しています。
婦人会では「経営におかしいと思ったことがあっても家族は誰も聞いてくれない」「嫁の立場が低すぎる」という悩みをよく聞きます。
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小川繁幸
東京農業大学 准教授
どのように解決すべきなのか、改善策を一緒に考えてみてはいかがでしょうか?
まだまだ女性農家の声が家庭や地域において届きづらい状況にあるなと、改めて痛感しております。
家庭や地域における女性の立場が向上する環境を作るためにも、相談者さんにはこれからもぜひ同業者の聞き手になっていただければと思います。
とはいえ、単に「愚痴の聞き手」になるだけでは、今の状況はきっと変わりません。次のステージにステップアップするためには、愚痴を愚痴のままで終わらせないことが重要です。
現時点で相談者さんは、仲間の家庭内の問題の愚痴の聞き役をつとめていらっしゃるだけで、この問題は相談者さんと同業者の二人の間だけで共有されているのだと推察しています。
確かに、同業者から聞いた愚痴の内容を彼女の家族に伝えるだけでは、単なる「お節介なヒト」になってしまうかも知れません。
かといって、他の仲間に伝えたら「愚痴を言われたことに対する愚痴」になるだけで、最悪の場合、他人の家族のプライバシーを侵害することにもなり得ますよね。
従って、私からの提案は、まずは相談者と同業者の二人で、「何が経営的におかしいか」を明らかにしたうえで、どのように解決したら良いかを一緒に考えてはいかがでしょうか?
こうすることで、愚痴の内容は、改善案へと変わります。
さらに、改善案の根拠をきちんと示すことができるよう、その改善案を婦人会に参加している他の仲間にも相談されてはいかがでしょうか。
そうすれば、最初は二人の間での愚痴だった問題が、地域の経営体が一緒に取り組むべき検討課題に代わりますから、問題を抱えている当の家族も、この課題について検討せざるを得なくなります。
そして、改善案を一緒に検討する仲間が増えることで、そのグループは、地域や組合のなかで、軽視できない存在になるのではないかと思います。
友達同士で愚痴を言い合うことも大切ですが、愚痴を愚痴で終わらすだけではもったいないです。
愚痴を改善案に変えて、前向きに検討すべき意見に昇華させ、同業者と共有していくことが、家庭や地域における女性の立場を向上させる一つの方法だと思います。