埼玉県北部で、都市型農業に従事している30代です。
先祖代々の農地や農法を受け継ぎながらも、新しい感覚を取り入れた経営を意識しています。
同世代や異業種の仲間から刺激を受けることも多く、最近話題になっている「SDGs(持続可能な開発目標)」にも注目しています。
世界共通の目標として地球規模の課題を解決しようとする取り組みであり、農業に携わる者としても、持続可能な食料生産への関心が高まっていると感じています。
そこで、安全安心な野菜作りだけでなく、地産地消を目指し、地元ならではの料理を提供する取り組みができないかと考えています。
将来的には、農地内にレストランやカフェを開業できないでしょうか。その可能性や課題、そしてもっとも気になる資金調達についてアドバイスが欲しいです。
(埼玉県・鈴木さん/仮名・37歳)
仲野真人
株式会社食農夢創 代表取締役
「6次産業化」の補助金や融資、クラウドファンディングを視野にいれましょう
農地内にレストランやカフェを開業する場合、2020年3月に「農業振興地域の整備に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が施行され、農用地区域内で農家レストランを設置することが可能になりました。そのため、農地転用することなく、農地のままでレストランを開業することができるようになったのです。
そして、最も重要な資金調達についてご説明します。農林水産省では、「6次産業化(生産だけでなく、加工や流通・販売も手がけること)」の取り組みを推進しています。
農家レストランもこれに該当し、「6次産業化・地産地消法等に基づく総合化事業計画」の認定を受けることができれば、加工食品の商品開発費用や加工施設の設備投資の一部を補助してもらえるのです。さらに、日本政策金融公庫の「スーパーL資金」の融資を受けることも可能になります。
また最近では、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める「クラウドファンディング」が活性化しています。SNSやブログなどを活用して、「地域のために農家レストランを開業したい!」というテーマで取り組みを発信し、多くの人から理解や支援を受けられれば、開業資金を集められる可能性もあります。
ただ、資金調達については「どんな料理やサービスを、どんなスタイルで提供するのか?」という具体的な方向性や「利益を出せるのか」「事業として安定的に継続していけるのか」を示す事業計画が必要になるでしょう。
質問者様は素晴らしい考えをお持ちですね。農業への関心も高まっていますし、地域の農業にとって非常に重要なテーマとなっています。実際に開業し、継続的に事業を続けることは大変ですが、明確なビジョンを持って取り組んでいただきたいです。