北海道でお米をメインに育て、小麦や大豆なども作っています。しかし、50歳も過ぎたので、作業の軽減化を意識しています。
いろいろと調べていると、自動操縦でお米も大豆も刈ることができるトラクターを見つけました。
ですが、金額的には2000万円ほどします。これから子どもの進学も控えているので、自分ひとりでは到底用意できる金額ではありません。
購入は無理だと諦めていましたが、JAの金融課の方がJAバンクの農業融資を利用することをすすめてくださいました。
そこで農業融資を申し込んでみたのはいいのですが、審査で落ちてしまったのです。
10年ほど前に一度キャッシングローンの延滞があったのですが、それが原因なのでしょうか?
現在、支払いは済んでいて、何が原因かわからないので納得できません。今後のこともあるので状況を把握したいです。
情報機関に信用情報の開示を依頼することはできるのでしょうか?
(北海道・山田さん/仮名・50代)
K.K.さん
元JA職員
農業融資の判断はJAが行います。信用情報機関の照会で決まるわけではありません
JAの農業融資の審査で落ちてしまったとのこと、とても残念でしたね。状況をハッキリとさせて納得したいお気持ち、非常にわかります。
疑問に思われている信用情報機関に対する信用情報の開示は可能です。信用情報機関はJAに対してこれまでの貸付情報を提供しているだけです。
融資判断自体はJA側の総合的な判断で決まります。だからといってJA側に落ちた理由に関して問い合わせをしても、具体的なことは教えてもらえないでしょう。
「総合的な判断」と返答される可能性が極めて大きいです。
ちなみにJAの貸付判断の背後には、利用者の収入や年齢、これまでの返済履歴、その他の借入などの情報、さらには各都道府県の系統機関の保証団体である「農業信用基金協会」の保証の諾否(だくひ)など、さまざまな要素が含まれています。
信用情報機関について、少し掘り下げてみましょう。
日本には銀行や信用金庫、JAバンクなどが主に参考にする「全国銀行個人信用情報センター」、クレジットカード会社・信販会社などが主に参考にする「CIC(シー・アイ・シー)」、消費者金融会社などが主に参考にする「日本信用情報機構」の3社が存在します。
JAの場合は、原則「全国銀行個人信用情報センター」や「CIC」のデータを参考にしているケースが多いです。
貸付商品や地域によっては、もちろん異なるケースもあります。
信用情報機関を確認する場合、おそらく貸付申請時に「どちらの信用情報機関に照会を行うか」という内容が記載された申請書を渡されていると思います。
冒頭でも申し上げましたが、信用情報の開示は可能です。どうしても気になる場合は、該当する信用情報機関に照会をかけてください。
照会方法はWebサイトで確認するか、電話で取得方法を調べてください。最終的には申請者本人が郵送で申請を行うこととなります。
金融機関などは、お金の返済遅延に関して厳しい判断をします。以前にキャッシングローンの延滞があったとのことですが、延滞の期間が短い場合でも5年間は約束の期日に返済がなかった記録が残り、審査が厳しくなる恐れがあります。
さらに約定返済日から61日間もしくは3カ月間経過した場合は、長期延滞として「異動情報(マイナスに作用する情報)」として記録され、5年が経過し異動情報が消えるまでの融資は相当厳しくなります。
なお、信用情報の内容に関しては、信用情報機関が修正することはできません。万が一、信用情報に事実と異なる記載があるならば、利用(借入など)をした会社に連絡して事実の修正を依頼する必要があります。
さて、大事なことは今後の対応方法でしょう。
信用情報を照会しても、落ちた理由を追求しても、状況が変わることは考えにくいです。借入状況を改善したり、希望額を見直すなど、何か違う角度から申請を行う必要があります。
延滞の件も含めて正直に事情を話し、悪くない感触があれば、いい意味での「まさか」が起こることもありえます。ご相談者様の詳細な経営状況や資産は分からないですが、ひとつの選択肢として頭に置かれて動かれてもよいかと思います。