島根県出雲市斐川町で30アールほどのぶどう農家を営んでおり、シャインマスカットを施設栽培しています。
今は就農して2年目になりますが、収穫物はまだ少なく、金銭的に困っています。
年間150万の補助金があるもののそれだけでは到底足りず、アルバイトを優先すると、ぶどうの栽培がおろそかになり、結果的にお金が足りなくなるのが最大の悩みです。
また、面積を増やすにあたって空きハウスや土地がなく、見つけたとしてもお金がないので修繕できません。
まずは収穫量拡大よりも新規就農者でも利用できる融資制度があれば教えていただきたいです。
農地に関しては人から借りている状況で、収量・売上ともにこれからの段階なので、利益もありません。
今年度から少しずつ収量も増えてくると思いますが、それでも300kgで約30万円程度の売り上げにしかなりません。
(島根県・島田さん/仮名・20歳前半)
高田裕司
日本プロ農業総合支援機構(J -PAO)上席コンサルタント
「青年等就農資金」の活用をおすすめします
150万円の補助を受けているということですので、既に認定新規就農者になられていると思います。
認定新規就農者向けの融資制度のなかに、無利子かつ実質無担保・無保証人で資金が借りられる「青年等就農資金」があります。
日本政策金融公庫が取り扱っている青年等就農資金の用途は、農業経営を開始するために必要な農業生産用の施設・機械の整備、家畜の購入費、果樹や茶の新植・改植費のほか、長期運転資金など幅広いものです。
借入限度額は3700万円(特任限度額1億円)に設定されているため、比較的大きな資金を借りられるようになっています。
さらに、青年等就農資金は就農後、しばらくの間は収入が安定せず返済が難しい場合も想定されることから、償還期限17年以内のうち据置期間は5年以内に設定されています。
特に、新規就農者には大きなメリットのある資金です。
ただし、この資金を受け取れるのは経営改善資金計画を作成し、市町村を事務局とする特別融資制度推進会議の認定を受けた事業に限ります。
他にも、農地等を取得される場合には有利子の経営体育成強化資金が利用できます。
相談窓口は、市町村、都道府県(普及指導センター)、都道府県青年農業者等育成センターのほか、日本政策金融公庫農林水産事業やJAなどです。
なお、市町村によっては、独自の新規就農者の支援施策を行っているところもあるので、あわせて確認してみるとよいでしょう。
さらに、新規就農者に対する支援は2022年度から大きく変わる予定です。具体的には就農後の経営発展のために機械・施設を導入する場合に国や県が補助する事業などが予定されています。
こちらも、最寄りの市町村などで最新の情報を確認してみることをおすすめします。