サーモンの養殖をしている漁師です。
サーモンの稚魚は、野生環境と同じ条件で育てるので、淡水養魚場で飼育していますが、その稚魚が出す大量のフンに頭を抱えています。
フンには多くのリンが含まれているため、そのまま流出すると、環境汚染となります。
そのため、多額の費用をかけて汚泥を処理しているのですが、このコストをどうにかこのコストを削減できないものかと考えていました。
そんな時ひらめいたのが、稚魚のフンを農業用肥料として利用できないかということです。
以前、家畜の排せつ物に含まれるリンが、農業用の堆肥として使用されているとテレビで見たことがあります。
しかも、作物の必須栄養素であるリン資源が無くなってきていると世界的に問題視されており、日本ではリン資源の多くを輸入に頼っているそうです。
リンを含む排せつ物に需要があるのであれば、稚魚のフンを有効活用できないものでしょうか。
安い価格もしくはタダでもいいので、フンを引き取ってくれる業者や大学機関があれば教えてください。
(新潟県・榎並さん/仮名・35歳)
馬場 治
東京海洋大学名誉教授
汚水処理業者に回収してもらうか、穴を掘って埋めましょう
ある都道府県の内水面試験場からの聞き取りをもとに説明します。そこでは、飼育池の隣に沈殿池を作り、そこにフンを沈殿させ、年2回程度汚水処理業者に回収してもらっているとのことです。
そして、沈殿池の水は特段の処理を施すことなく川に放流しているそうです。
沈殿物は多くの水を含んでいます。そのため、リサイクルして飼料などに再利用するにはコストが掛かりすぎます。
そういったことを考えると、現実的には難しいのではないかとのことです。もし、養殖場の周辺に地所を所有しているのであれば、穴を掘って取り上げたフンをそこに埋めても問題ないだろうとの意見もあります。
いずれにしても、再利用のために引き取ったり買ってくれたりということは残念ながら期待できないようです。