新潟県の佐渡島で漁師をしている者です。
佐渡島の漁師は未婚者が増えており、危惧しています。「漁師になっても結婚できない」。そんなイメージが広がると、島に残って漁師になりたいと思う若者が減ってしまうのではないかと思うのです。
結婚できずに悩んでいる漁師仲間がたくさんいる一方で、結婚に対する意識が低下している漁師も多いです。30代の漁師は、友人が結婚したという話を聞くと、焦る人もいますが、半ば諦めている人もいます。
40代ともなれば、ほとんどが諦めてしまっているように見受けられます。それは、置かれている環境による影響もあると思います。
島の漁師には職場も含めて出会いがほとんどありません。以前は新潟県が主催する婚活イベントが佐渡市で行われることもありましたが、婚活イベントに参加したことが島内でうわさになることが嫌だという人が多く、参加者が集まらず、佐渡市では開催されなくなりました。
また、島内には娯楽が少ないため、パチンコにのめり込む漁師が多く、結婚に向けて貯蓄をしている様子も見られず、悪循環に陥っています。
こうした状況で、未婚の漁師たちがどのようにして結婚していけばいいでしょうか?
(新潟県・佐藤さん/仮名・40代)
三木奈都子
一般社団法人うみ・ひと・くらしネットワーク会員
田舎暮らしやマリンスポーツ好きが集うマッチングアプリやSNSを足掛かりにしてみましょう
島だと出会いが少なくなってしまいますね。ましてやお仕事が漁業だと、操業時間との関係でなおさら出会いの機会が少ないと推察いたします。
出会いの場作りとしては、従来、行政などによるマッチングイベントが開催されていると思います。
漁業者ということを伝えて参加者を募るため、それなりの思いを持った女性たちが参加していると思いますが、成婚率は決して高くないようです。また、現在はコロナ禍でこのようなイベントの開催は中止されているようです。
一方で、一般的にはマッチングアプリやSNSによって結婚に至るカップルが少なくありません。イベント型よりも多様な女性と巡り合える可能性があります。
漁業者の場合、田舎暮らし志向やマリンスポーツ好きなどの女性が集まるサイトなどで関係ができると、足がかりになるのではないでしょうか。
ただ、女性が個人としての男性漁業者に関心を持ったとしても、結婚後の漁業従事と所得、家族関係、地域の雰囲気などで、尻込みしてしまうことも少なくありません。
家族関係については、漁村でも子供夫婦は親世帯と近居というのが多いです。また、地域は限られますが「家族経営協定」を結んで、家族の中での決め事を明らかにしているケースもあります。
結婚後に漁業を手伝うかについては、補佐的な仕事だけでなく、加工や販売など、何か作業の一部を任せ、女性のやる気を刺激できるような部分があると良いかと思います。中には、そこから起業して地域で自分のアイデンティティを形成していく女性もいます。
地域の雰囲気についてはなかなか個人でコントロールできることではありませんが、自治体の子育て支援策などが女性に「住みやすさ」感を与え、背中を押すこともあります。
かつて、ある自治体の婚活イベントに参加した子連れバツイチ女性は、漁業者を気に入ったのはもちろん、成婚に至るまでの自治体の全面的なサポートにより、住み心地が良さそうという気持ちになり、結婚したと聞いています。