3年前に夫婦で兵庫県に移住し、新規就農しました。
周りは兼業でやっている米農家さんばかりですが、私は専業農家として露地野菜や施設野菜、果樹に取り組んでいます。
移住前は閉鎖的なイメージはありませんでしたが、住んで仕事を始めると印象が一変しました。
農会の会合などに参加させてもらえないなど、移住者への態度がよそよそしいと感じています。
農作業は私が主体となっているため、女性への偏見があるのかもしれません。
せっかくご縁があってこの地を選んだ以上、地域の方たちとも仲良くやっていきたいです。
同様の悩みを抱えた女性もいるのではないでしょうか。
うまくやっている先輩から助言をいただきたいです。
(兵庫県・渡部さん/仮名・50代)
鈴木朝子
エム・フォーヌ
JAなどで頼れる人や同志を見つけて新しい風を起こしましょう
農業従事者が減少する中での新規就農、大変喜ばしいのに残念です。奥様が主体となり、作物も他農家と異なるということで、受け入れられないのでしょうね。
世の中は女性活躍社会へ変化しているのに、受け入れる柔軟性がないのでしょう。ぜひともそこで新しい風を起こしてほしいところです。
まず、JAさんに相談してみてはいかがでしょう。JAは新規就農した農家さんに期待もあるはずです。
組織の幹部ともなれば、狭い考え方はお持ちでないと思うので、職員の方を交えて一度お話しすれば、何かしら計らいをしてくれるのではないでしょうか。
JAの方も、新しいことに前向きな農家さんをご存じだと思います。そうした志を等しくする方とお近づきになることで、慣れていくのがいいと思います。
熱意を持って就農したご本人の人間性が通じれば、上手くお付き合いしていけることでしょう。どうぞ心も元気においしいものを作り、私たちの食卓を笑顔にしてください。
小川繁幸
東京農業大学 准教授
自治体を頼りながら異業種との交流で視野を広げてみては?
よそ者という偏見があるのでしょうか、残念です。まずは自治体職員の方に、地域に溶け込めるようにコーディネートをお願いできないでしょうか。
地域の困りごとをお手伝いすること、人手が足りない地域イベントをサポートすることがポイントです。
また、対抗しない作物をお裾分けするなどして、ご近所とお近づきになれないでしょうか。私の両親も兼業農家で、農作業のメインは母親です。女性が主体的に農作業することは兼業農家ではよくあることです。
異業種交流会に参加するのも一案です。女性主体の集まりもあるかもしれませんし、農業経営にもプラスになるかもしれません。
農業の世界や生活圏、世代の中では孤独でも、枠を越えれば同じような境遇の方が近くにいるかもしれません。今はネットで空間的な壁を越えられます。ぜひ、農林水産省の農業女子プロジェクトなども検討してみて、ご活躍されることを期待します。