千葉でトマトをメインに栽培しています。
私で2代目、昔ながらの農業スタイルに固執する両親を試行錯誤して説得しながら、現代らしい農家のスタイルに移行を試みている最中です。
そのひとつに販路があります。
農協に出荷しても自分が作った野菜がほかの野菜と一緒にされて評価されない(結果として見えにくい)ことに憤りを感じていたのと、売掛金の回収に数ヵ月時間がかかっていたという理由で、現在は道の駅を含む複数の直売所に卸すのとインターネット通販をメインにしています。
直売所なのですが、どうしても入金が遅れるお客さんがいます。
あまりにも遅いとそれとなく催促するのですが、なんだかこっちが悪いことをしているみたいでストレスになるし、毎度のことになるとせっかく築いてきた人間関係が壊れてしまいそうで胃が痛いです。
こうしたストレスなく売掛金を回収する方法があるのなら教えてほしいです。
(千葉県・渡辺さん/仮名・40代)
田中耕一
田中耕一税理士・中小企業診断士事務所
王道の解決法はありませんが、ゲーム感覚で楽しんでみましょう
「入金が遅れている」ということは、現金払いではなく、売掛金となっているのですね。
売掛金とは「ツケ払い」のことです。日本では、例えば「月末締め翌月10日払い」などの商習慣があります。
時効は、2020年4月以降に発生した売掛金は5年です(それ以前の発生は2年)。
前提として、
1.顧客(Bさん)は、期限は守らないが、催促すれば支払ってくれる。
2.相談者(Aさん)は、Bさんとの取引は、今後も継続したいと思われている。
3.内容証明を送り付けたり、法的手段に訴えたりすることは選択したくない。
と考えてお答えします。
確かに、未入金の催促は気持ちが良いものではありません。催促すれば払っていただけるとしても、その間ストレスが溜まります。私も同じです。とても苦手です。
「ストレスなく売掛金を回収する方法」との相談ですが、これといった王道は私も持ち合わせておりませんが、発想を変えて、これを、Bさんをしつけるミッション(使命)と置き換えたらいかがでしょうか。
まずは、Bさんに「支払いが遅れるのには何かご事情があるのでしょう?」と悩みを聞くように理由を尋ねてみましょう。もちろん、いきなりストレートに聞くのではなく、話の流れの中で。
先方にも何か事情(言い分)があるかもしれません。したがって、責めるのではなく「相談に乗る」という立場で臨んでください。
Bさんが支払いを遅れてしまう理由として2つ考えることができます。
1、ルーズな性格で、単純に忘れっぽい。
この場合、「ごめんごめん。すぐに忘れちゃうんだ」と言われたら「承知しました。当方の請求の仕方も不十分でしたね。期限直前に請求書を送ることにしましょうか」と下手に出ます。
これでも支払われなかった場合は、必ず「期限の翌日」に催促するとともに、「いつ払ってくれるのか」を確認してください。
Bさんも「期限を過ぎれば必ず翌日に催促される」ことを学習するでしょう。これを忍耐強く続けたら、きちんと期限内に支払ってくれるようになることが期待できます。
2、お金に困っている。
この場合は、真剣に相談に乗ってあげましょう。困っている方は、話を聴いてくれる(共感する)だけでも心が休まります。
そして、「共感」からは「信頼」が生まれます。そうすれば、BさんはAさんが困るようなことは避けるようになることが期待できます。
ただし、Bさんの困窮がどうにもならない状態であれば、Bさんとの取引は解消する選択肢も考えなければなりません。事業は、ボランティアではありません。
人の行動を変えさせるのは困難なことですが、このミッションが達成できれば、Aさんの勝ち。ゲーム感覚で楽しんでみてください。