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最近気になる「一発肥料」。稲作で穂の栄養を補うために追肥していたが、味や収量に違いがあるの?

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最近気になる「一発肥料」。稲作で穂の栄養を補うために追肥していたが、味や収量に違いがあるの?

米を栽培している農家です。小規模ではありますが、先祖代々の田んぼを50アール程度栽培しています。

味や収量にこだわって栽培しており、農薬は使いますが、肥料や堆肥については非常に気を付けて育てています。

いま気になっているのが、定植時に散布すれば、収穫まで追肥する必要がない「一発肥料」です。

最近は、この一発肥料を使って栽培することが一般的になっているようですが、私が若いころは、追肥で穂の栄養分を補っていました。

長年の習慣で追肥を施用して栄養分を補ってあげた方が味や収量に良い影響があると思っていたのですが、果たしてどちらがいいのでしょうか?
(京都府・安井さん/仮名・60代)

佐々木茂安

日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント

緩効性肥料は便利だけど、肥効のメリハリがなく、食味が落ちてしまうことも…

ご相談者さんがおっしゃる「一発肥料」とは、植え付ける時に混ぜ込んでおけば、収穫するまで施肥の必要がなくなるため、省力化につながる緩効性肥料として、多くの方が利用されています。

肥料成分が少しずつ時間をかけて溶けだすために、肥料の溶出をコントロールするためのコーティング材で被覆している構造ですが、一方でコーテイング材に使われているマイクロプラスチックが環境汚染につながるとして、問題になっています。

「一発肥料」に代表される緩効性肥料の多くは、稲が倒伏しやすい品種であることを前提に作られています。

したがって緩効性肥料は、出穂30日前の「穂首分化期」から、出穂22〜24日前ごろの「幼穂形成期」に至るまでの期間に、肥効がいったん途切れるように設計されています。

この仕組みは、25度の地温の積算で、肥料成分80%が溶出するのにどれだけかかるかといった基準を設け、早生から晩生までの生育に合うように配合されています。

しかし、速効性肥料に比べると肥料成分が緩やかに溶け出すため、「今すぐ施用効果を確認したい」という生産者の期待には応えられません。

稲の葉の光合成は、出葉から数日後までの能力が高く、時間が経てば次第に光合成力が低下してきます。したがって、葉がフレッシュなタイミングで肥料が効いていると、光合成の効率が良くなります。

つまり、光合成の視点から言えば、緩効性肥料は効率が良いとは言えませんね。

一方で、肥料成分の流亡という視点から考えてみます。植え付ける前から施用する「元肥」は、幼苗の根が発達していない時期なので、吸収効率は良くありません。

それに比べて、緩効性肥料では、この時期の肥効が抑えられているので、施肥量に対する吸収効率が高くなります。

肝心の味についてはどうでしょうか?緩効性肥料の場合、肥料を分けて施用する体系施肥に比べて、肥効時期のメリハリがないので明らかに落ちます。そのため、堆肥等でしっかり補うことが必要となります。

緩効性肥料を選ぶ際には、先述のマイクロプラスチックによる環境汚染の問題から、自然由来の硫黄で包んだ商品を選ぶのがオススメです。

ご相談者さんがこれまで続けてきた元肥から追肥まで行うスタイルか、緩効性肥料のどちらが良いかとは一概に申せませんが、最近の肥料価格の高騰を考えれば、しっかり土づくりをすることを前提に、生育期間中に追肥せずに済む生産方法を目指した方が良いかもしれません。

ただ、時代の流れや今後の状況などから中期的に見れば、緩効性肥料に慣れるよりも、堆肥など有機肥料を取り入れることを検討された方がよろしいかと思います。

また、多収米は穂首分化期の肥効が重要になるので、別途追肥は必要になります。

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