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2021.08.15

農家のため池の水難事故予防対策は?釣り客や子どもの転落が心配

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農家のため池の水難事故予防対策は?釣り客や子どもの転落が心配

茨城県にて家族で野菜農家をしている60代です。規模は小さいですが、有機栽培で旬の野菜を育てています。

先日、ため池での水難事故の予防を呼びかける動画が、近所で話題になっていました。テレビでも、大型連休中に各地で水難事故があったとニュースになっていて、農業水路やため池でもそうした事故が起きているということを知りました。

私の集落にも、周辺の農家で共用するための、ため池があります。その池には、昔から釣り人や網を持った子どもたちがやってくるのですが、これまでは特に危険だと思いませんでした。しかし、改めて考えると、このままで良いのかな?と思うようになりました。

大自然だけが取り柄のような田舎なので、水辺の生き物と親しむには良い場所ですが、事故防止のために閉鎖すべきか、地域の人と相談しようと思っています。もし何か良い対策があれば、そのまま残しておきたいのですが・・・。アドバイスをお願いします。
(茨城県・斉藤良治/仮名・60代)

COMMENT

吉川夏樹

新潟大学 教育研究院 自然科学系 農学系列、農学部農学科教授

閉鎖するのではなく、大人が危険な行為を教えてあげることが大切

個人的には、水難事故防止のための閉鎖には反対です。人にとって水は身近な存在で、生活に密接に関わってきました。特に私の住む新潟は文字通り「潟」、つまり、潮が満ちると隠れ引くと現れるところが多くありました。

魚や鳥などの食をもたらしてくれるだけでなく、子どもたちが遊びの中で「水の怖さ」を知る学びの場でもありました。

ところが近年、川や水路、池は「危険」とされ、生活から隔離されています。水難事故は、水との接触機会が減り、水の扱いを知らない人が増えたことも一因です。

ため池の水難事故防止のためには、周囲を柵で囲むのではなく、「何をしたら危ない?」「どこまでが大丈夫?」と大人が子どもに教えることが重要です。

私の著書『みんなの潟学』や、水を知るための地域イベントも有効になると思うので、参考にしてみてください。

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農林水産省 農村振興局整備部防災課

農林水産省

看板で危険を知らせ、ロープやネットで転落に備えましょう

ため池には貯水、調整池の機能もあり、ひとことで不用とは言えません。ただ最近は、農村部の高齢化が進み、メンテナンスができずに劣化しているという事情などもあるので、事故は増加傾向です。

安全対策は全国で急務となっていますが、もし事故があれば、地方農政局へ届出る義務があります。

安全対策ですが、ため池の構造を変えるような工事にはお金がかかります。国や自治体に強制することもできないので、関係者が話し合って最適な対策をしなければなりません。

成功例としては、侵入禁止や危険を知らせる看板や安全柵の設置、斜面を凹凸にしたりネットを張ったりして手足をかけやすくすること、地上からロープを垂らしておくことなどがあります。転落しても、這い上がれるようにしておくことが重要です。

日ごろから万が一を想定し、危険な点がないかを常に確認しておくことが大切です。農水省では、ため池の安全対策についての資料をネット上で公開し、チェックリストもあります。

また、ため池は都道府県の管轄のため、それぞれの担当部署に相談すると有効な対策を教えてもらえるでしょう。

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