信州でリンゴや桃などを作っています。
うちの農園からかなり離れた場所に曽祖父の代から山を持っていますが、最近は人手不足もあって、ここ10年ほど、ほとんど手付かずの状態です。
ところが、最近、ソロキャンプが流行っている影響で、どうやらうちの山にも無断で入り込んでキャンプしている人がいるらしいと近隣の人から聞きました。
それを聞いて、何度か足を運んでみましたが、あいにく侵入者には出会うことがなかったのです。
しかし、煮炊きをした痕跡は見つけました。
そこで不安になったのは、もし山火事などを起こしたらどうなるのでしょう?
通常は、山主の責任になると思いますが、他人の山に不法侵入した人物が原因であっても私の責任になるのでしょうか?
(長野県・国中凌さん/仮名・50代)
河原崎 弘
弁護士 河原崎法律事務所
山火事は年間2000件!他人事ではありません!
林野庁の調査によりますと、毎年年間で平均して2,000件近い山火事が発生していますので、相談者さんの心配は、他人事ではありません。
今回のようなケースは、基本的には「山火事を起こした者」つまり、山の所有者に許可なく侵入したキャンパーに賠償責任があると考えられます。ほとんどの場合、山の所有者に賠償責任はないと言えます。
ただし、不法行為について規定した民法709条によると、通常であれば故意または過失がある場合に損害賠償責任が認められますが、過失による火災について定めた「失火責任法」では、重過失がある場合にのみ責任が認められています。ここで言う「重過失」とは、「極めて容易に結果を予見できた」という意味です。
今回の相談内容では、勝手に他者所有の土地に侵入していることも罪になるが、それを差し引いたとしても、もし所有者がこの土地の管理を怠って放置し、例えば枯草が大量に積まれていて簡単に火事を引き起こしそうな状態になっていたといったことがあれば、一部は責任を問われることもあるので注意。
木村正晴
メディコム(株)代表取締役
山林レンタルを検討してみてはいかがでしょう?
未活用山林の貸し出しを行う「YAMAKAS」を運営するメディコム株式会社の木村と申します。
今回ご質問のあった私有林への無断侵入ですが、365日利用者がいるわけではないので、僕らのような山林レンタル業を通じて貸し出しても防犯効果という面では期待できません。
しかし未活用山林の貸し出しを行うことで、山林からの収入が増え自分自身で警備を行う機材(赤外線カメラや警報機など)を買う、もしくは森林組合への見回り依頼をしやすくなるかと思います。
ちなみにYAMAKASでは、身分証の確認が取れたキャンパーにのみレンタルを斡旋しています。
また、山に人が頻繁に入るようになることで、有害獣が里山へ降りてくる確率を減らせるという本業の方での農家さんへのメリットもあります。
今は山林レンタルが中心ですが、山林を処分したいと言うご相談にも応じていきたいと考えています。