群馬では昔から遺跡がたくさん出土しています。
うちは祖父の代から続く兼業農家なので、畑を耕したりするとたびたび土器のかけらが出てくるほど。
これまであまり深く掘ったことはなかったのですが、今年は土壌改良のために少し深めに掘ってみたところ、かなりたくさんの土器らしきものが出てきました。もしかすると、古墳(?)のような史跡を掘り当ててしまったかもしれません…。
近所の道路脇でもよく遺跡の発掘調査をしているのを見かけるのですが、このまましれっと土壌改良を続けてしまっても大丈夫でしょうか?
それともやっぱり、役場に届け出をださないと、何かの罪に問われて懲罰の対象になってしまうんでしょうか?
(群馬県・須田さん/仮名・40代)
群馬県地域創生部文化財保護課
群馬県地域創生部文化財保護課
遺跡は国の財産。出土したら必ず届け出を
農家が日常的に耕作している農地で土器などが出土した場合は、一般的な拾得物にあたりますから、最寄りの警察署に届ける必要があります。
この場合、持ち主が現れるまで3カ月、埋蔵物の場合は6カ月の保管期間がありますが、出土品の場合、所有者はいませんから「これは文化財かもしれない」となると、都道府県や市町村の教育委員会が、文化財かどうかの鑑定を行います。
最終的に、文化財だと認められた場合、埋蔵文化財は文化財保護法という法律によって都道府県のものになることが決まっていますので、たとえ出土した場所が私有地であっても発見者の所有物にはなりません。
一方、新たに土地を造成したり建物を建造したりする場合には、あらかじめ市町村の教育委員会に届け出る必要があります。
また相談者のご指摘通り、群馬県は遺跡が多いのですが、どこの都道府県であっても、いわゆる「埋蔵文化財包蔵地」として市町村の遺跡地図や遺跡台帳に載っている土地(過去に石器や土器・貝塚や古墳などが多数見つかっていて、遺跡が土中に埋まっていることが周知されている土地)で開発工事を行う場合にも、事前に業者が届出をする必要があります。
ちなみにこのような土地は全国に46万カ所あって、毎年9,000件程度の発掘調査が行なわれています。
いずれにしても、相談者はふだんの農作業中にたまたま土器を掘り当ててしまっただけなので、届出をしなかったからといって、逮捕されることはありません。しかしながら、文化財は今を生きている私たちだけでなく、将来に渡っても国の財産となるものですから、発見したらぜひ最寄りの警察署まで届け出をお願いします。