米農家に嫁いで20年近くになります。見よう見まねで手伝いからはじめましたが、現在は一人前の農家になりました。
しかし、気になっていることがあります。それは、親戚や知人などに米や野菜を送る「縁故米」。
新米だけでなく、旬を迎えた野菜や果物なども送る風習があり、10キロほどの米を用意します。
もらう方は当たり前だと思っているようなのですが、こちらは儲けがゼロです。それどころか送料を負担し、手書きの手紙を添えるので負担が大きすぎます。
縁故米を発送する作業は、嫁である私の仕事です。もう止めたっていいんじゃないかと思っています。
夫の面子を潰さずに止めるにはどうすればいいでしょうか?
(新潟県・松田さん/仮名・50代)
小澤 量
有限会社てんち
お米は自分で選ぶ時代です。縁故米をやめれば貰う方も嬉しいのでは
まず大前提として、今は「縁故米」をもらう方のほとんどが喜んでいません。
相談者さんは、送料を負担し手書きの手紙を添えるとおっしゃいますが、もらった方もお礼をしなくてはいけないですからね。
さらに縁故米は、売り物として成立していない品質のものも少なくありません。それが30kgも送られてきたら、迷惑でしかありません。
「無料なのだから嬉しいだろう」と考えている農家さんは多いようですが、売り物にならないお米をもらっても迷惑千万といったところです。
しかも、昔から日本人はお米を捨てられない性質ですし、保管スペースも取られます。
さらに、玄米のままなら精米も必要です。届ける方も面倒なら、もらう方も面倒、というのは負の連鎖としか言いようがありませんね。
こうした理由もあり、縁故米の慣習はだいぶん減ってきています。「ふるさと納税」がすっかり広まり、お米が人気だそうです。自分で選んだ好きな産地、好きな銘柄のお米が返礼品としてもらえますので。
相談者さんが縁故米を断わる理由説明は「耕作量が減ってきてしまい、今後は今までのように送れなくなってしまった」はいかがですか?
こう言えば、角が立たないのではないでしょうか。案外そうすることで、もらっていた方もホッと胸をなで下ろすかもしれませんよ。