最近、産直コーナーやインターネットでの販売など、消費者に直接販売する機会が増えてきました。
それに伴い、農家も世の中の動きを学んでいかないと生き残れないのではないかと、60歳にしてひしひしと感じています。
ここで疑問が湧いてきました。
例えば「他にはないトマトを作ろう」と試行錯誤を重ねて、すでに出回っているトマトを特殊な方法で育てることで、見た目も味も全く別もののようなトマトができたとして、それを育てた人が独自の愛称をつけて販売してもよいのでしょうか。
ここでいう「すでに出回っているトマト」とは、品種登録済の品種のことです。
例えば「桃太郎」を、少し塩味のある水を与え続けて栽培し、収穫前には枯れるほど水分を制限することで、大きさも糖度もメロンそっくりにして、「まるでメロン」という愛称をつけ、桐箱に入れて高価な商品として売った場合、違法になってしまうのでしょうか?
また、それがダメなら「桃太郎」であるということがわかるように「群馬の農家・川田さんが育てた、メロンのように甘い桃太郎」などとパッケージに書くのであれば問題はないでしょうか?
(群馬県・川田さん/仮名・60代)
竹下大学
技術士(農業部門)J.S.A.ソムリエ
果実なら愛称をつけて販売OK。苗は登録品種名の表示を
収穫した農作物に愛称をつけて売ることは、基本的には全く問題ありません。見た目と味が同じであっても大丈夫です。ただし、登録品種については「収穫物のみであれば」という条件がつきます。
簡単に言うと「食べてしまえばなくなるもの」。「果実」や「葉」のみを販売するのであれば何の問題もありません。そのため、質問されているようなトマトやメロンであれば全く問題ないでしょう。
しかし、根がついている苗用のネギなど、それを次の生産に回すことができるものについては、販売する際に必ず登録済の品種名を表示しなくてはなりません。
また、育成者権者の許諾を得て挿木をして増やした苗を販売する場合も、品種名を必ず書く必要があります。