山梨県で果樹農家をしている50代男性です。
梨狩りに遠方からいらしてくださるお客さまもいて、直接「美味しい」と言われると農家冥利に尽きますね。
小さな梨園ですが、繁忙期はどうしても人手が足りずアルバイトさんに来てもらったり、親戚に作業を手伝ってもらったりしています。
とくに、東京から家族で手伝いに来てくれる40代の親戚には本当に感謝しています。私たちよりも若いし体力もありますしね。
しかし先日、公務員が農作業のアルバイトをして処分を受けたというニュースを見ました。
うちを手伝ってくれている親戚も公務員なのです。手伝いのお礼に果物を渡したり、わずかですが現金を渡しています。
もしかして、親戚だとしても、公務員だと何かお咎めがあるのでしょうか?
私たちの手伝いがもしかして処分の対象になるのかもと考えたら気が気ではありません。
(山梨県・坂井さん/仮名・50代)
中村雅和
いのしし社会保険労務士事務所所長/農業労災事務センター常務理事/社会保険労務士
報酬を得ないお手伝いであれば副業にはなりません
公務員には厳しい兼業禁止規定があります。公務員は公権力を行使する仕事なので、営利企業と関わると職務の公平性に疑念が生じる恐れがあること、公務員としての信用を守る義務があること、公務外の仕事により、職務に影響することがあってはならないこと、などがあります。
一方、兼業が許可される場合もあります。国家公務員と地方公務員では、取り扱いが若干異なります。
以下、表を使って簡単に整理します。
法律を破って兼業をすれば、おっしゃるような懲戒処分もあり得ますので、お手伝いしてもらうには、迷惑が掛からないよう十分に注意する必要があります。
それで、違法にならない方法なのですが、報酬を得ない単なる手伝いであれば、兼業にはなりません。
現物支給でのお礼や少しばかりの現金とのお話しもありましたが、圃場までの交通費相当分など、実費弁償程度であれば、報酬ではありませんので、いずれも許可は不要です。
やはり、どうしても気になる、ということでしたら、その親戚の公務員の方に職場の見解を得て、必要に応じて許可をもらうようにアドバイスしてみてください。
また、兼業先における農作業中の事故をどうするか、という観点もあります。今回の質問の趣旨にはありませんので省略しますが、補償の有無を含めて検討しておく必要があると思います。
なお、雇用側には罰則などはありません。