鳥取県で、ネギやとうもろこし、ブロッコリーなどの野菜を育てています。
ウチの農園のパンフレットやチラシ類は、地元の印刷会社さんに作成をお願いしているのですが、いつも「可もなく不可もない無難なデザインだな…」と不満を持ってます。
これまでは、地元企業を支えることも大事だと思って、近所に依頼してきたのですが、この際なので思い切って東京や大阪など、都会にあるデザイン会社に発注してみたら、斬新なものができるのではないかと考えています。
しかし、地理的に離れているので、デザイン会社さんと直接会って話すことはできませんし、ウチの農園を見にきてもらうことも、難しいと思います。
やはり、あまり離れた場所にあるデザイン会社に発注するのは、良くないのでしょうか。
まずは新しいパンフレットを20万円くらいで作れたらと考えているのですが、アドバイスをいただけないでしょうか。
(鳥取県・錦織翔太さん/仮名・30代)
本多英二
aula brand design(アウラブランドデザイン)
「カッコいい」から「売れる」わけではないけれど、知識があるデザイナーや、専門サイトで探してみては…?
まず最初にお断りしておきたいのは、印刷会社におけるデザイン業務は「おまけ」のようなものです。
印刷会社の主要事業は印刷業務によって利益を得ているので、デザインは営業の一部であり、会社内部のデザイナーが自発的に新しいアイディアを出してくるのは極めて稀だと思います。
営業が獲得してきた仕事を、特に何の疑いもなく言われるがままデザイン(らしきもの)に仕上げるのが、彼らインハウスデザイナー(オペレーター)の仕事です。
相談者さんのお悩みも、そういった事情によるものだと推察します。
そこで、印刷会社以外の独立したデザイン会社、あるいはフリーランスのデザイナーはどうだろう?というハナシになりますが、すべての独立系デザイナーのセンスが良いかと問われると、そういうわけでもないと申し上げなければいけないのが苦しいところです…。
ご質問の「都市部にあるデザイン会社に発注した方がいいのだろうか?」についてですが、"デキる"デザイナーの割合は、私の体感的に100人に1人程度です。
これは都会、地方に関わらず同じ比率ですので、母数が大きい都会であればそれだけ優秀なデザイナーの割合が高いということになります。
確率の問題ですので、「都会=すべてイケてる」ことにはなりません。むしろハズレを引く可能性も高いです。
そして、必ずしも「カッコいいデザイン」が「売れるデザイン」ではないことも念頭に置いておいてください。地域の素朴な野菜なら、ちょっとダサいくらいの方がお客さんの心に響きます。
その観点で言えば、「地方暮らしで、野菜のことをよく知っている、しかも都会の販売事情にも明るいデザイナー」が適任だと思います。
「あまり離れたところに発注するのは良くないのか?」というご質問ですが、通信環境や配送業務が整った現在、場所にこだわる必要は無いと思います。
印刷費用だけを考えるなら、通販型の業者の方が格安です。近場の業者に頼むメリットは、もしものときの対応の速さでしょうか。
ご近所のよしみで野菜販売の営業もお手伝いしてくれるかも知れません。その会社が気の利いた対応をしてくれればの話ですが…。
いずれにせよ、デザインのクオリティーを求めるのであれば、印刷業務とデザイン制作は別で考えた方が良いでしょう。
一定レベル以上のデザイナーが集まっている組織であれば、グラフィックデザインなら「日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)」、パッケージデザインなら「日本パッケージデザイン協会(JPDA)」のサイトをのぞいてみてください。
いろんな制作例が載っていますので、ピンときたデザイナーに直接問い合わせてみてはいかがでしょうか。
西日本在住のデザイナーなら、直接伺って丁寧なヒアリングをしてくれるでしょうから、貴方の想いを汲んだデザインに仕上げてくれると思います。