漁業の世界では、どこの会社も同じだと思いますが、働き手の高齢化や人材不足が進み、その影響でこれまで行えていた作業が負担になることが増えています。
そのひとつが、養殖場で使っている網を洗う作業です。網はずっと海に沈めているので、大量の藻が生えます。
藻の生えた網をそのままにしておくと、水質や視界が悪くなるため、定期的に網を洗う必要があります。
しかし、この作業に想像以上の人出が取られるのです。
さらに、けっこうな重労働なので、高齢の漁師には肉体的な負担になっています。
そうしたなか、現在、網に藻が生えない対策として、塗料を浸み込ませています。
しかし、どうやら塗料の種類によって効果に差があり、持続時間が違うようです。
そこで、網を洗う作業をなるべく少なくできるように、より長持ちして効果が得られる塗料や、その他に魚網に藻が生えないような対策があれば教えてください。
(長崎県・中山さん/仮名・40代)
村松一也
有限会社 村松水産
養殖網に銅イオン系の塗料を浸み込ませ、掃除役として海藻を食べる魚を混養しましょう
漁網に滲みこませる塗料について、私の地区では大きく2種類使用しています。
ひとつめは「銅イオン系」のもので、主に貝類に効果があります。
ふたつめはベタベタした緑色の海藻類に効果があるものです。
弊社では、銅イオン系のものを使っていますが、これは恐らく、全国的な養殖漁場で使われているものだと思います。
また、塗料を使うのと併用して、漁網に付着する海藻や貝類を食べる掃除役として、ウマヅラハギ、カワハギ、イシダイ、イシガキダイなどを混養しています。
ただし、イシダイやイシガキダイは、あまり多く入れ過ぎるとブリやカンパチの尻尾をかじるという被害が出ますので、注意してください。