定置網で使われているブイはどんな役割があるのでしょうか？

YUIME Japan編集部 / 2023.07.12

漁具・船具

#定置網 #沖合 #沿岸

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定置網漁船に乗ったばかりの新米漁師です。いまはまだ雑用仕事しかこなせていませんが、少しづつ知識を増やしています。

定置網のことは勉強している最中なのですが、先日、うちの定置網の付近で釣りをしている人がいて、ちょっとしたトラブルになりました。

先輩たちは「ブイの近くで釣りをするな。定置網があるだろ」と釣り人たちに怒っていましたが、私もブイにそんな役割があるとは知らなかったので、勉強になりました。

いまさら先輩たちに聞きづらいので、ブイの役割についてもっと具体的に教えていただけないでしょうか。

石戸谷博範

海と定置網の研究室

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定置網を仕掛けた場所を示し、網に魚が入ってくる導線を作るのがブイの役割です

定置網のブイの役割

定置網で使われるブイは、定網が仕掛けられた場所を示す役割を持っていて、重要な漁具のひとつです。

ブイの大きさは、小さなもので直径は約20センチ、大きなものだと直径が40センチほどになります。

さまざまな色や大きさをしたブイ

また、仕掛けた定置網に魚が入ってくる導線を作るために、ブイを使って規則正しい形ではなく、いびつな形にすることもあります。

これは、魚の障害物を避ける習性を利用したもので、潮の流れに沿って泳いできた魚を袋網へと誘導するために、いびつな形を作り出しています。

定置網の外枠の役割を果たすアバ（浮子）

アバと呼ばれる定置網の外枠を表すブイ（浮き）

定置網で使われるブイの中で、網を仕掛けた場所を点線で囲むように配置される小型のものを「アバ」と呼びます。

アバは、定置網を仕掛ける際の外枠を示すもので、定置網の大きさ（規模）や海流の速さ（強さ）、さらに波浪の状況によって浮力を調整して設置します。

大きな浮力が必要なほどアバ自体が大型になるので、網への取り付けや連結の際の強度が重要となります。

定置網のブイとルール

定置網が仕掛けられた区画には、数十メートルの間隔でブイが設置されます。

そのため、近くの海域を航行する際は、ブイを目安にして、定置網が仕掛けられた区域を避けるようにしましょう。

また、ブイへ船を係留することや、ブイの近くで漁をすることも固く禁じられています。定置網の周囲は魚群の回遊を保護する必要があるため保護区域が設けられています。

また、近づくだけで漁業権の侵害に抵触する場合もあるので気をつけてください。

漁業権の位置は「海しる」で調べることができます。

定置網で試されているスマートブイ

数年前からブイにIT技術を取り入れた「スマートブイ」の研究開発が続いています。

「スマートブイ」はブイにセンサーやカメラを取り付けることで、海中のデータを採取し、海中の状態と漁獲量の関係を調べることが可能です。

KDDI総合研究所と東松島みらいとし機構が宮城県石巻湾漁場で行った実験では、ブイに取り付けたセンサー（スマートセンサーブイ）やカメラ（スマートカメラブイ）が水温や潮流、塩分濃度などのデータを収集し、それらのデータを漁獲量の予測データなどとかけあわせることで、漁獲量の予測などに役立てられるかという実証実験が行われました。

これまで漁師の勘や経験に頼っていた漁業を「見える化」することで、若手漁師の育成などに役立つと期待されています。