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養鶏を営んでいますが、飼料コスト削減や見回りの負担を減らしたい

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養鶏を営んでいますが、飼料コスト削減や見回りの負担を減らしたい

昔から家族で養鶏を営んでいます。規模を拡大して、現在は10万羽近くを飼養しています。最近、さまざまな点で養鶏業を続けることに負担を感じています。

特にしんどいのは、鳥に与える配合飼料の値上がりです。これまでもギリギリでしたが、さらに飼料が値上がりするのはしんどいと感じています。飼料や飼料以外の部分で負担を抑える方法、コスト削減方法はあるでしょうか?

また、家族で分担して、1日に5回、夜間も含めて鶏舎の見回りをしています。温度センサーの取り付けもしていて、なにか温度に変化があればブザーで知らせてくれるのですが、近年は物騒な事件も多く、妻が見回りをしている時になにかあったらと、心配になります。

見回りの頻度を減らすサービスはないでしょうか?
(茨城県・高橋さん/仮名・50代)

加藤武市

加藤技術士事務所

卵の付加価値向上と直販等で売り上げをアップ、防犯対策は監視カメラとシールで

鶏卵をめぐる国内情勢は、2019年度に農水省が発表した国内の養鶏農家は1,920戸(2019年度)です。そのうち80万羽以上を飼育する大規模農家は34社で、10万羽以上ともなると250社と、大規模化の傾向が進んでいます。

卵の生産量は、近年増加していて、消費量の伸びを上回っています。そのため、鳥インフルエンザの影響で、卵の価格が一時的に上昇したとしても、一段落すると、卵価安になる見込みです。

現在、鶏卵の販路は、100万羽以上の大規模養鶏農家が握り、価格も支配しています。一方で、ご相談者さんのような10万羽規模、あるいはそれ以下の小規模養鶏農家は、特殊な卵を生産、販売して、1個あたりの付加価値を高めて利益をあげているというのが現状です。

大規模養鶏が増えると、消費者にとっては安く卵を食べられるメリットがありますが、小規模の養鶏農家にとっては、価格競争に負けて市場からはみ出されるおそれがあります。

以上の状況をおさえた上で、経営改善のヒントを考えてみましょう。農林水産省が出している「2016年~2018年営農類型別経営統計(個別経営)」によると、1万2千羽以上を飼養しなければ、農業所得700万円以上に届かない計算です。

飼養羽数の規模別で生産費の比率をみると、最も比率が高いのが飼料費になります。従って、コストを下げるには、飼養費の問題に取り組むことが必要です。

私が提案したいのは、飼養羽数を見直して、卵一個あたりの付加価値を高め、生産者が決めた価格で販売し、さらに直販率を上げることで売上を上げる。そして、その売上で配合飼料の値上がり分を相殺する方法です。

具体的には、
1、遺伝子組み換えした飼料を鶏に与えない事にこだわる。飼料用米を増やすことで、コスト削減だけでなく、質の高い卵ができるようになる
2、動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮した飼養環境を整える
3、リノレン酸を豊富に含んだエゴマ卵のような特殊な卵を生産する
4、直売店を開設して、直販できる体制を整える
5、卵を加工して、6次産業化に積極的に取り組む
がおすすめです。

飼料用米を確保するためには、水田農家に協力を依頼し、こちらは代わりに鶏糞を水田に還元するするなど、相互に連携することで、持続可能な農業を目指しましょう。

私がかつて所属していた福井県畜産試験場における実証実験の結果から、飼料用米が35円/kg以下で入手できると、配合飼料に含まれるトウモロコシの20%を飼料用米に置き換えることで、飼料費は約10%削減できます。トウモロコシの65%を置き換えた場合は25%削減することが可能でした。ぜひ参考にしてみてください。

盗難対策については、私も福井県畜産試験場時代に、農家から「畜舎に置いてあった道具・器具が盗まれる」という相談を受けたことがあります。

対策として、録画できる監視カメラを取り付けると被害が少なくなりました。取り付けたら「監視カメラ録画中」とあちこちに掲示することで、「この農家は防犯対策がしっかりしている」とアピールするのが大事です。

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