京都でじゃがいもやショウガ、オクラを作付している農家です。120アールほどの栽培面積で育てています。
連作障害に気を付けて、じゃがいも、ショウガ、オクラを輪作していましたが、じゃがいもにネコブセンチュウが発生してしまいました。
畑は水はけも良く、排水不足ではないと思うので、原因がわかりません。
なるべく農薬は使いたくないので、ネコブセンチュウに対抗できる微生物があれば教えてください。
(京都府・一ノ瀬さん/仮名・40代)
京都でじゃがいもやショウガ、オクラを作付している農家です。120アールほどの栽培面積で育てています。
連作障害に気を付けて、じゃがいも、ショウガ、オクラを輪作していましたが、じゃがいもにネコブセンチュウが発生してしまいました。
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豊田剛己
東京農工大学 農学研究院 生物システム科学部門 教授
じゃがいものネコブセンチュウ対策は、薬剤もしくは緑肥作物の導入がおすすめです
我が国でジャガイモの主要な病害虫というと、「ジャガイモシストセンチュウ」と「そうか病(細菌Streptomyces scabies)」です。
一方、海外の教科書を見ると、ジャガイモに寄生するセンチュウとしては、「シストセンチュウ」に加えて「ネコブセンチュウ」が挙げられています。
ショウガもオクラもネコブセンチュウの宿主になりますから、これらを輪作している過程で、ネコブセンチュウが増殖してきたと考えられます。
現状のジャガイモにネコブセンチュウの抵抗性を持った品種はないため、薬剤もしくは緑肥作物の導入が防除法として適しています。
なるべく農薬は使いたくないとのことですが、もっとも費用対効果の面で優れているのは、燻蒸剤の「D-D剤」です。
D-D剤に比べると高価になりますが、「バスアミド剤」も選択肢の1つです。
非燻蒸剤としては、最近、新薬として市販されるようになった「ビーラム剤」や古くから利用されている「ネマトリン剤」なども効果が期待できます。
一方、薬剤防除では土壌の肥沃度は決して高まりませんから、土づくりを兼ねた防除法としてお勧めしたいのが緑肥です。
ネコブセンチュウ密度低減効果が高い緑肥として、ギニアグラス(タキイ種苗「ナツカゼ」、雪印種苗「ソイルクリーン」など)、ソルガム(雪印種苗「つちたろう」、タキイ種苗「ラッキーソルゴー」、カネコ種苗「スダックス緑肥用」など)、クロタラリア(カネコ種苗「ネマクリーン・クロタラリア」、雪印種苗「ネマックス」「ネマキング」「ネマコロリ」など)があります。
これらの栽培期間は春から夏、初夏から初秋なので、これらを栽培するとジャガイモを栽培できなくなるのが難点ですが、土づくりとセンチュウ対策を同時に行うため、輪作体系に組み込んでいくのが望ましいと言えます。
微生物に関しては、ネコブセンチュウに寄生して密度を下げる効果を有する天敵として「パスツリア細菌」が市販されていますが、効果が見られるまでに、繰り返し3年以上にわたって使用することが必須条件のため、費用対効果の面から、ほとんど普及していません。
生物農薬ではありませんが、片倉コープアグリから「SGNS(Soil Guard Nematode S)」という微生物資材(センチュウの卵に寄生するカビが含まれています)が「センチュウ類の住み難い環境づくりに」という謳い文句で販売されています。
農薬に比べると効果の安定性は劣りますが、販売実績が増えているようです。